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アメリカ成長株:エンブラエル(EMBRAER):小型ジェット機メーカー

鉱工業

アメリカ成長株: エンブラエル(EMBRAER)の概要

エンブラエル
EMBRAER SA-ADR
ティッカーコード:ERJ
上場市場:NYSE(ニューヨーク証券取引所)

業績についてのリンク
https://finance.yahoo.co.jp/quote/ERJ/performance

エンブラエル社はブラジルに拠点を置く航空機メーカーで、商用航空機、社用航空機、軍事用航空機を製造しています。

販売先は主に米国とヨーロッパの民間航空会社、およびヨーロッパとラテンアメリカの政府で、ボーイングとエアバスに次ぐ第3位の民間航空機メーカーとしてランク付けされています。
ブラジルにはあまりハイテク産業のイメージがありませんが、同社は小型航空機メーカーとして成功していて、世界中の航空会社から信頼を得ています。
元は1969年にブラジル政府によってブラジル空軍向けの軍用機の製造のために設立された国営企業でした。

しかし、その後の経済状況の変化と国営企業特有の運営体質が業績の悪化を招き、1994年にブラジル政府は同社を売却し、民間企業へと転換させました。
この民営化により、新たな経営戦略を採用し、製品ラインを拡大し、グローバル市場への進出を加速させました。
その結果、商用ジェット、ビジネスジェット、軍用機など、幅広い製品を提供する世界的な航空機メーカーとしての地位を確立しました。

現在は以下のような事業・開発を展開しています。

・商業航空
150席未満のリージョナルジェットと呼ばれる小型航空機を専門とし、地域航空市場に強い存在感を持つ。
世界中の170以上の航空会社に効率的で環境に優しい航空機とサービスを提供する。

・エグゼクティブ航空
数人~数十人が定員のビジネス・プライベートジェットと呼ばれるエグゼクティブジェットの製造において業界のリーダーであり、70カ国以上に1,800機以上を納入する。
高級感と快適性を兼ね備えた製品を提供し、ビジネスニーズに応える。

・防衛およびセキュリティ
防衛関連の航空機やシステムを製造・開発しており、国際的な防衛市場にも参入している。
軍用機や監視システムなど、多様な製品を提供する。

・サービスおよびサポート
航空機のメンテナンス、修理、オーバーホールなどのサービスを提供する。
顧客のニーズに応じたカスタマイズされたサポートを行い、航空機の運用効率を向上させる。

・研究開発
新技術の開発に注力し、次世代の航空機やシステムの設計に取り組む。
環境に配慮した航空機の開発を進め、持続可能な航空業界の実現を目指す。

これらの事業の中で特に主力となっているのは商業航空セグメントです。
同社は150席未満の小型機の製造に特化しており、特にE-Jetsシリーズが市場での競争力を持っており、売上や受注の大部分を占めています。

近年、航空会社は大型機で一度に多くの乗客や貨物を運ぶよりも、小型機でこまめに運ぶほうが効率が良いとして、小型機を求めるようになっています。
拠点同士を大型機で結び、そこから各地へ小型機で運ぶ従来の“ハブアンドスポーク方式”は手間やエネルギー効率の面から不利だと考えるようになったのです。

ハブアンドスポーク方式では、客の乗り換えや貨物の積替えのための時間、手間、施設が必要となります。
またハブ空港での乗り換えの調整が複雑となり、遅延が発生すると全体のスケジュールに影響を及ぼすというデメリットもあります。
加えて、大型機と小型機の両方を運行するとなると、それぞれの機体に対するメンテナンスやパイロットの訓練などの運用コストが増加します。

こうした背景から小型機へのシフトが加速していますが、最近の小型機は航続距離が伸びており、長距離路線の直行便にも使えるようになっています。

同社のE-Jets E2という新しいモデルも燃費と航続距離の向上が図られています。
より長距離のフライトが可能になり、乗客数が少ない地方都市へのアクセスの改善が期待されます。
実際、多くの航空会社では小型で燃費の優れた機体の導入が増えていて、以前より多くの直行便を運行するようになっています。
こうした流れから、エアバス社は2021年に超大型旅客機として有名なA380の生産を終了しています。

現在、航空機メーカーは小型機の開発にしのぎを削っていて、エアバス社はカナダの小型機メーカーのボンバルディア社との提携を通じて、最新の技術とデザインを取り入れた新型機の開発を進めています。
また米国を代表するボーイング社は小型機開発でエアバス社に遅れをとっていて、2018年にはエンブラエル社の商用機部門を買収することで合意していましたが、737 MAXの問題などもあって2020年に中止されました。

小型機への流れは、格安航空会社(LCC)の台頭による影響もありますが、環境対策の観点からも重要です。
最近世界各地で温暖化による異常気象が頻発し、環境保護の面から温暖化の原因の一つと言われる大量のCO2を排出する航空機には厳しい目が向けられています。

同社は持続可能な航空燃料(SAF)、水素を利用した低排出・ゼロ排出の代替推進技術、電動垂直離着陸機(eVTOL)などの開発や、電動推進システムの製造などを通じて環境負荷の低い航空システムを目指しています。

同社は今後、環境問題を克服しながら、拡大する小型機市場において小型機に特化した独自の開発力を活かしてシェアを伸ばしていけるかが注目されます。

会社ウェブサイト
https://embraer.com/br/pt

 

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