アメリカ成長株:サイトキネティクス(Cytokinetics)の概要
サイトキネティクス
Cytokinetics Inc
ティッカーコード:CYTK
上場市場:NASDAQ National Market System
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/CYTK
人間が生きていくためには筋肉が必須であり、体を動かす筋肉に異常が起きただけでも大変な事態に陥ってしまいますが、それが心臓や呼吸器を動かす筋肉となると命に関わることになります。
同社はOmecamtiv Mecarbil、Reldesemtiv、CK-274の3つを中心に筋肉の機能不全を対象とした臨床段階の治療薬を開発しています。
筋肉の不具合には、収縮が不十分で力を出せない場合(収縮不全)と、逆に収縮しすぎて機能しない場合(過収縮)があります。
収縮不全には
・心不全 ← Omecamtiv Mecarbil
・ALS、SMA、衰弱性神経筋疾患、骨格筋の筋力低下、筋肉疲労 ← Reldesemtiv
過収縮には
・肥大性心筋症(HCM) ← CK-274
などの疾患があります(矢印は対応する開発薬)。
※臨床試験の進行状況については以下のURL参照
https://translate.google.com/translate?hl=ja&sl=en&tl=ja&u=https%3A%2F%2Fcytokinetics.com%2Fpipeline%2F
Omecamtiv Mecarbilは以下の4つの点で他の心不全薬と比べて有利です。
- 心筋にだけ効くためその他の筋肉に対する副作用が小さい
- 不整脈を引き起こさない
- 既存の心筋機能を改善できるため酸素需要の増加を招かない(筋肉量を増やすタイプではない)
- その他の心不全薬と併用できる
ALS(筋萎縮性側索硬化症)は筋肉に指令を出す神経が徐々に機能しなくなり、最終的には呼吸もできなくなる難病ですが、ReldesemtivはALSの治療薬としても期待されています。
その他のALS治療薬が発症を遅らせるだけで効果が限定的であるのに対し、Reldesemtivは萎縮した筋肉の機能をある程度復活させることができるという点で画期的です。
心筋の過収縮は血液を十分に送り出せなくなる上に心臓の壁を厚く固くさせて更なる機能低下を招きますが、CK-274は過収縮だけでなく肥厚と硬化を軽減する効果も認められています。
同社が開発するこれらの治療薬は構造が単純な低分子であるという点にも注目すべきで、最近開発の主役になりつつある高分子のバイオ医薬品と比較すると様々な利点があります。
抗体治療薬のようなバイオ医薬品はタンパク質でできた高分子であり構造が複雑で不安定であるため、製造工程での厳しいチェックが必須、製造コストが高い、投薬は注射に限られるなどの問題があります。
これに対し低分子治療薬は構造が単純で比較的安定であるため低コストで製造できる上に、飲む(錠剤)打つ(注射)塗る(軟膏)と投薬にもバリエーションがあります。低分子薬は安価で手軽なものが多く、例えば身近にあるアスピリン、ロキソニンのような錠剤のほとんどは低分子薬です。
最近の医薬品業界では低分子薬からバイオ医薬品にシフトしつつあるようですが、低分子治療薬にもまだまだ見逃せない利点があるのも事実です。
会社ウェブサイト
www.cytokinetics.com
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