アメリカ(米国)成長株:クレド・テクノロジー(Credo Technology):有線通信向け機器メーカー
アメリカ成長株:クレド・テクノロジー(Credo Technology)の概要
クレド・テクノロジー・グループ・ホールディング
Credo Technology Group Holding Ltd
ティッカーコード:CRDO
上場市場:NASDAQ National Market System
業績についてのリンク
https://finance.yahoo.co.jp/quote/CRDO/performance
現代の生活は、電子決済から情報収集、コミュニケーション、エンターテイメント、学習、仕事まで、あらゆる分野でデジタル情報通信に依存しています。
一般的に“通信”と言えば、Wi-Fi、携帯電話の4G, 5G、ブルートゥースなどの無線通信に目がいきがちですが、有線通信も依然として重要な役割を担っています。
世界中をインターネットでつなぐ海底ケーブルや、データセンター内のサーバー間通信、家庭内の高速ネットワーク接続など、安定した通信品質と高いデータ転送速度が求められるシーンで有線通信は欠かせない存在です。
また物理的な接続を必要とするため、傍受される可能性のある無線通信に比べてセキュリティ面で優れています。
これらの特性から、有線通信は大規模なデータ転送が必要な場面やセキュリティが重要なシステムで重宝されています。
現在の有線回線は主に光通信とイーサネット(銅線ケーブル)の2本柱で支えられており、光は長距離通信や大容量データ通信に、イーサネットは家庭やオフィスのLAN、パソコンやプリンタなどの接続に使われています。
今回紹介するクレド・テクノロジー・グループ・ホールディングは高速な有線接続を実現するための通信機器とソリューションを提供します。
<通信機器>
SerDes IP / DSP Chiplets:
特定の用途に特化した集積回路に使われる高速通信インターフェースで、集積回路内で高速なデータ通信が可能となる。
ラインカード:
ネットワークスイッチやルーターなどのネットワーク機器に挿入され、ネットワーク接続を提供するハードウェアコンポーネント。
最大112G/レーンの通信速度をサポートし、800Gポートを備えた52.1Tbpsのプラットフォームを実現する。
光通信:
同社の光通信デバイスは、高性能、低消費電力、低コストで知られており、データセンター、人工知能(AI)、5G、電話、インターネット、テレビなどの様々な通信サービスに使われている。
Active Electrical Cable (AEC):
ケーブル内に増幅器があり、長距離通信でも信号を増幅し、ノイズを減らし、伝送速度を維持する。
データセンターやネットワーク機器間で最大112G/レーンの通信速度をサポートする高速データ通信を可能にする。
これらの製品はデータ通信の速度と効率を向上させ、データセンターやネットワークインフラのパフォーマンスを最大化し、ユーザーに高速で安定したデータ通信を提供します。
<ソリューション>
高速通信ソリューション:
データインフラ市場のすべての有線接続で、大量のデータを素早く送受信できるような技術やサービスを提供する。
データ通信の効率を大幅に改善することでシステム全体の省電力化に貢献する。
データセンターソリューション:
顧客のニーズに合わせて設計された高速、高エネルギー効率、低コストの製品により、データセンターの初期投資・運用コストを抑える。
5Gソリューション:
5G(第5世代移動通信システム)の有線接続の部分において、より高速で安定したデータ通信を提供し、パフォーマンスを最大化する。
5G通信の要件に合わせて設計された高性能な光トランシーバー(光信号と電気信号を変換する装置)やトランスインピーダンスアンプ(電流を電圧に変換する装置)を通じて通信ネットワークの構築を支援する。
これらのソリューションは高速かつ信頼性の高い通信を提供し、電力効率やコスト効率を向上させ、顧客の新しいアイデアや技術を実現することを支援します。
現在、AIの利用が急速に広まったことで、ますます大量のデータを高速に送受信する必要に迫られており、データインフラ市場が活発化しています。
この状況を受けて、同社の光通信のための光学ソリューションは特にAI構築向けに設計されるようになっています。
また、データセンターの需要も急増していますが、同社の製品は主にデータセンター向けであり、AI市場の拡大から多大な恩恵を受けています。
加えて、AIワークロードは大量のデータ処理を必要とするため、より高速で効率的なデータ転送ソリューションが求められており、同社の集積回路のためのSerDesやDSP製品群はこうした需要に応えています。
好調なAI関連事業ですが世間では最近、環境問題と関連付けて「AIは電力を食いすぎる」という批判も巻き起こっています。
同社の製品は省電力に貢献しており、環境負荷を最小限に抑えつつ、高性能なAIソリューションを提供する取り組みがこの観点から評価されています。
このように同社はAIに求められる高機能で高効率の製品やソリューションを提供しており、AIチャットから大規模産業まで様々な業界まで広がりを見せている最近のAIブームは強い追い風となっています。
しかし、AI市場の成長に伴って同業他社も同様のAI関連ソリューションの開発に注力していくのは確実であり、市場競争の激化は避けられません。
同社は今後も研究開発の焦点をAI関連のニーズにさらにシフトさせ、よりいっそうAI関連事業に傾倒していくことになりそうですが、一方でAI技術の進化と市場の変化への柔軟な対応も必要です。
常に最高水準の製品を提供するAI分野でのリーディングカンパニーとしての地位を確立しつつ、市場のニーズを的確に把握し、顧客との継続的なコミュニケーションを通じて革新的なソリューションを提供し続けることが重要となりそうです。
会社ウェブサイト
https://credosemi.com/
コメント