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アメリカ成長株: コーセプト・セラピューティクス(Corcept Therapeutics)

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アメリカ成長株:コーセプト・セラピューティクス(Corcept Therapeutics)の概要

コーセプト・セラピューティクス
Corcept Therapeutics Inc
ティッカーコード:CORT
上場市場:NASDAQ: CORT

業績についてのリンク
https://finance.yahoo.co.jp/quote/CORT/performance

コーセプト・セラピューティクス社は、コルチゾールというホルモンの分泌過剰が引き起こすさまざまな疾患の治療薬を開発・製造・販売しています。

ホルモンは体内で生理的機能や代謝を調整・制御する役割を持つ情報伝達物質です。
体内では多種のホルモンが作られていて、それぞれに受容体があり、ホルモンが結合することで信号が細胞に伝えられます。

コルチゾールは“ストレスホルモン”として有名で、健康意識が高い界隈では減らすためにはどうすればよいかということが話題になるものです。
しかし、単純に少ない方が良いというものでもなく、糖代謝の調節、脂肪やタンパク質の分解促進、炎症や免疫反応の抑制などの重要な働きをしています。

ただし、コルチゾールが病的に過剰分泌された場合は、以下のような問題を引き起こします。
・身体的な特徴や外見の変化
顔が丸くなる満月様顔貌、腹部や体幹部に脂肪がつく中心性肥満、首や肩周りに脂肪がつく野牛肩、皮膚が薄くなって皮下出血やあざができやすくなるなど。

・代謝・内分泌系の異常
高血圧、血糖値の上昇、コレステロール値の上昇、骨密度の低下、低カリウム血症、低リン血症など。

・精神・神経症状
うつ症状や不眠、情緒不安定など。

・生殖・成長への影響
月経異常や無月経、小児の成長障害など。

・免疫力の低下と感染症リスク
免疫力が低下して傷の治りが遅くなったり、感染症にかかって重症化しやすくなったりする。

・その他の合併症
消化管潰瘍、血栓症、心不全など。

こうしたコルチゾールの過剰分泌による症状は“クッシング症候群”や“高コルチゾール血症”と呼ばれ、放置すると重篤な感染症や心血管疾患のリスクが高まり、寿命が短くなる場合もあります。
同社の治療薬はコルチゾールの作用を抑えることで、こうした症状の改善を目指しています。

すでにFDA(アメリカ食品医薬品局)承認済みで製品化されているのは“コルリム(Korlym)”です。
コルリムはコルチゾールの代わりに受容体に結合することで、過剰なコルチゾールの作用を抑える拮抗薬です。
ただし、コルリムはコルチゾール受容体だけでなく、コルチゾールに似た分子構造を持つプロゲステロン受容体にも結合するという欠点があります。
女性ホルモンであるプロゲステロンの作用まで抑えてしまうと、子宮内膜肥大や薬剤性不正出血などの副作用が出ることになります。

そこで現在同社は、プロゲステロン受容体には作用せず、コルチゾール受容体だけに結合する新しいタイプの次世代薬として“リラコリラント(Relacorilant)”を開発しています。
安全性試験の結果では、プロゲステロン関連の副作用がないことが確認されています。
リラコリラントは、高コルチゾール血症への臨床試験の第三段階が終了し、承認申請に向けて準備中です。
また、リラコリラントの卵巣ガン(他剤との併用療法)や前立腺ガンでの臨床試験も進められていて、現在第2段階にあります。
これは、コルチゾールがガン細胞の増殖を促進し、免疫を抑え、抗ガン剤の効きを悪くすることが近年解明されつつあり、コルチゾールを選択的に抑えるリラコリラントがガン治療に使える可能性があるからです。

その他にも、コルチゾール拮抗薬のDazucorilant、Miricorilantが開発中となっています。
・Dazucorilant:ALS(筋萎縮性側索硬化症)治療薬
ALS患者ではコルチゾールの血中濃度が上昇していて、この状態が神経細胞への炎症や毒性を増強し、病気の進行に関与するため、コルチゾールの作用を抑えると症状を抑制できる可能性がある。
臨床試験の第2段階にある。
・Miricorilant:MASH(代謝機能障害関連脂肪性肝炎)治療薬
MASHの発症や進行にコルチゾールとその受容体が深く関与しているため、コルチゾールの作用を抑えると症状を抑制できる可能性がある。臨床試験の第2段階にある。

診断技術の向上と早期発見、生活習慣の変化、ステロイド剤の使用、高齢化などの要因でクッシング症候群を含む内分泌疾患が増えており、それに伴って同社が開発するようなコルチゾール拮抗薬の需要は伸びています。

また、内分泌疾患だけでなく、ガン、代謝疾患、神経疾患など幅広い領域でもコルチゾール関連薬の研究・開発が進められています。
特にガン治療の領域では、コルチゾール類や受容体がガン細胞の増殖や薬剤耐性、免疫抑制に関与することがわかってきており、新しい治療法の道が模索されています。
こうした複数の要因が後押しとなり、コルチゾール拮抗薬の市場規模は大きく、今後も安定した成長が見込まれています。

大手製薬会社も関心を示している分野でもあり、今後競争は激しくなっていくと予想されますが、同社は“コルチゾール調節”という特定の領域に深く焦点を当てた独自の開発プラットフォームを持っています。

これまでに蓄積してきた専門的な知見や独自の研究開発力と、希少な遺伝性疾患からガン・代謝・神経疾患までをカバーする豊富な開発薬のラインナップを強みに、競争が激化する市場環境の中でもリーディングカンパニーとして存在感を高めていくことができるでしょう。

会社ウェブサイト
https://www.corcept.com/

 

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