アメリカ成長株:C4セラピューティクス(C4 Therapeutics)の概要
C4セラピューティクス
C4 Therapeutics Inc
ティッカーコード:CCCC
上場市場:NASDAQ National Market System
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/CCCC
現代の様々な分析技術の進歩によって病気の原因が詳しく調べられるようになりましたがそれによって分かってきたのは、ほとんどの病気を引き起こしているのが“タンパク質”であるということです。
そこで、治療薬の開発は主に病気の原因となるタンパク質をターゲットとしてその働きを抑えたり除去したりすることが第一の目標として進められるようになりました。
機能を持つタンパク質の働きを抑えるためには一般的に阻害剤が使われますが、この方法が使えるのは活性中心と呼ばれる“急所”があるものに限られていて、創薬ターゲットの15%未満ほどしかありません。
その他の大多数の“つかみどころがない”タンパク質は抗体を使って除去する方法が主流でした。
抗体はターゲットのタンパク質を抗原として動物の体内で作らせたるもので、大量生産が困難、低温での保存が必要、投薬は点滴に限られるなどの問題があります。
そこで最近は体内にもともと備わっているタンパク質を分解・除去するシステムを利用した治療薬が開発されています。
今回紹介するC4セラピューティクス社は、ユビキチン・プロテアソーム系と呼ばれるタンパク質分解システムを利用したガンや神経疾患のための治療薬を開発しています。
体内で不用となったタンパク質には“不用品”というタグが貼り付けられ、それを認識したプロテアソームと呼ばれるタンパク質分解装置で分解・除去されますが、タグに相当するのがユビキチンです。
ユビキチンはユビキチンリガーゼという酵素によって不用となったタンパク質に貼り付けられます。病気を引き起こすタンパク質にユビキチンリガーゼをうまく接近させれば、ユビキチンを貼り付けて不用品として分解・除去させることができます。
そのためには、ターゲットのタンパク質の凹みにうまく“はまる”構造の分子をコンピュータを使って設計し、これをユビキチンリガーゼと結合する分子とつなぎます。
こうして作られた“リンカー分子”は、ターゲットのタンパク質とユビキチンリガーゼを引き合わせてタグを貼り付けます。
不用品というタグがつけられたターゲットのタンパク質はユビキチン・プロテアソーム系によって分解・除去され、病気の原因が取り除かれることになります。
リンカー分子は抗体のような巨大で複雑な分子に比べて圧倒的に小さく単純な構造であるのため、大量生産が可能で保存・輸送に有利な錠剤にできるなどの利点があります。また、この方法はタンパク質そのものを分解・除去するので、働きを抑えるだけでタンパク質自体は残ってしまう阻害剤と比べても優れています。
最近はタンパク質の立体構造を解析する技術が進歩し、治療薬の設計に使われるコンピュータの性能も飛躍的に向上しました。
また、ユビキチン・プロテアソーム系の他にも病気の原因となるタンパク質を体内のシステムで分解させる方法も出てきていて、タンパク質の立体構造をバラバラにほどくことで分解に導いたり、オートファジーという別のタンパク質分解系を誘導する方法などのバリエーションも登場しています。
今まで創薬不可能と言われてきた病気であっても、こうした新しい技術やアイデアによって画期的な治療薬を短期間に開発できるようになったのは喜ばしいことです。
会社ウェブサイト
www.c4therapeutics.com
コメント