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アメリカ成長株:アポジー・セラピューティクス(Apogee Therapeutics):抗体薬の持続時間を延長する開発に特化

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アメリカ成長株:アポジー・セラピューティクス(Apogee Therapeutics)の概要

アポジー・セラピューティクス
Apogee Therapeutics Inc
ティッカーコード:APGE
上場市場:NASDAQ National Market System

業績についてのリンク
https://finance.yahoo.co.jp/quote/APGE/annual

アポジー・セラピューティクス社は、アトピー性皮膚炎や慢性閉塞性肺疾患のような免疫の異常で起きる病気に焦点を当てた治療薬を開発しています。
外部からの異物を過剰に攻撃するアレルギー疾患と、自己を異物と誤認識して攻撃する自己免疫疾患は、どちらも免疫が過剰に働いて自身の体を傷つけてしまうという点で共通しています。

治療法としては、過剰な免疫を抑えるための免疫抑制剤を使用しますが、これには大きく分けて低分子治療薬と抗体薬の二種類があります。
低分子治療薬は製造コストが安く、錠剤にして経口投与できるという利点がありますが、分子が小さい分どこにでも作用するため副作用が強く出る傾向があります。その点、ターゲットを絞れる抗体薬は副作用が小さく抑えられるという点で優れています。

現在、同社は免疫過剰で起きる5種類の疾患のための4つの抗体薬を開発中ですが、中心的な開発薬は以下の2つで臨床試験の初期段階にあります。

・APG777(アレルギー疾患:アトピー性皮膚炎、喘息)
免疫細胞から放出される炎症性サイトカインの一種であるIL-13(インターロイキン-13)をターゲットとする抗体薬

・APG808(自己免疫疾患:慢性閉塞性肺疾患)
IL-13の受容体で、免疫細胞の表面上にあるIL-4Rαをターゲットとする抗体薬
免疫反応において炎症を促進したり抑制したりする情報を伝達するシグナル分子をサイトカインと呼びます。
IL-13は感染や損傷から身を守るための炎症をうながすサイトカインで、受容体であるIL-4Rαは免疫細胞の表面でIL-13をキャッチしてその情報を伝えます。
このように、IL-13とIL-4Rαは免疫細胞が活性化して炎症反応を起こす上で重要な役割を果たしていて、APG777とAPG808はそれぞれをブロックすることによる抗炎症作用を狙っています。

免疫の異常は慢性疾患であり、風邪のように薬を飲めば短期間で治ってしまうような病気ではないため、長期的に治療薬を使い続ける必要があります。
抗体薬はタンパク質でできている性質上、飲み薬にすると胃酸で分解されてしまうので、投薬は病院での点滴か自宅での自己注射に限られていて頻度も高いことが患者と病院双方の負担となります。

そこで同社は、抗体工学によって抗体の一部の構造を改変することで、薬の持続時間が延長された免疫抑制剤の開発を進めています。
血中の抗体は通常、一定の時間が経つと細胞に取り込まれて分解されますが、FcRnというタンパク質によって分解から守られて再度血中に戻される場合もあります。

同社は、抗体薬の“尻尾”の部分をFcRnと結合しやすいように変えることで、抗体のリサイクル効率を上げ、より長い時間血中に留まるようにしています。
一般的に抗体薬は数週間おきに投与されますが、APG777は効果の持続時間が延長され、2~3ヶ月に一回で済むようになる可能性があり、APG808もそれに匹敵する効果が期待できるとして臨床試験の結果が待たれています。
抗体薬の持続時間の延長は投与頻度を減らして患者や病院の負担を軽減する上に、医療費削減にも貢献します。

関節リウマチ、クローン病、乾癬、筋無力症など抗体薬を持続的に長期間投与する必要がある疾患は他にも数多くあり、抗体薬の持続時間を延長するニーズは大きく残されています。
この部分に特化した開発を成功させていけば、新しいターゲットを探し、新しい治療薬を一から開発するよりも比較的に低リスクで市場に製品を投入できるため、今後も有利な立場で事業展開できることになるでしょう。

会社ウェブサイト
https://apogeetherapeutics.com/

 

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