アメリカ成長株:セントラス・エナジー(Centrus Energy)の概要
セントラス・エナジー
Centrus Energy Corp.
ティッカーコード:LEU
上場市場:NYSE(ニューヨーク証券取引所)
業績についてのリンク
https://finance.yahoo.com/quote/LEU/key-statistics/
セントラス・エナジー社は、原子力発電産業向けの核燃料とサービスのサプライヤーです。
米国内外の約35の主要電力会社が顧客に含まれており、欧州・アジア・中東地域にも広がる顧客基盤を持っています。
米国の原子力燃料の供給において主要な役割を担っており、特に低濃縮ウラン(LEU)と高純度低濃縮ウラン(HALEU)を中心としています。
定義上、LEUはウランの濃縮度が20%未満で、HALEUは5%~20%とされています。
この定義では規定範囲が重なっていて分かりにくいですが、実際の運用上、LEUは5%未満で従来型商用原子炉用、HALEUは5%~20%で小型モジュール炉(SMR)や高速炉などの次世代原子炉向けになっています。
20%以上はHEUと呼ばれ、核兵器への転用の可能性があるため特別に厳しく規制されています。
同社の場合、LEUは5%をわずかに下回る水準で、HALEUは最大19.75%という圧縮率で製造しています。
同社は現在、HALEUに含まれるウランを20%まで濃縮できるNRC(米国原子力規制委員会)ライセンスを保有する唯一の企業です。
事業は、以下の3つのセグメントに大別されます。
1.LEU(低濃縮ウラン)セグメント
・主に商業用原子力発電所を運営する世界の電力会社に対し、核燃料コンポーネントを販売。
・既存の大規模原子炉(軽水炉)の核燃料調達を長期契約で支援。
・LEUの濃縮工程(SWU)を中心としながら、ウランヘキサフルオリド(UF6:燃料素材)やウラン精鉱・変換加工までを含むバンドル販売も展開。
・35社以上のグローバル顧客(米国、アジア、欧州)を持ち、契約売上残高は2040年まで世界最高水準の約30億ドル規模に達している。
・長期契約により安定した収入を確保し、既存の在庫や契約、スポット取引を通じて供給。
・ロシア産ウランの調達規制強化を受けた米国を含む西側諸国の自給強化需要に、即応できる柔軟な供給体制を構築。
2.HALEU(高純度低濃縮ウラン)セグメント
・HALEUは現在の商用炉燃料(LEU)より濃縮度が高いため、燃料効率が優れ、次世代炉の経済性・安全性向上に不可欠とされる。
・2025年から2027年にかけて生産能力を15%増強し、さらに70万SWU(ウランの濃縮過程で投入されるエネルギーと時間と労力の総量を示す単位)の新規能力を追加する計画も進行中。
・HALEUの生産・供給において、米国NRC(原子力規制委員会)に認可された唯一の企業。
・技術的・商業的に先進的なウラン濃縮能力を持ち、次世代原子炉の燃料供給に対して米国で独自かつ重要な役割を果たしている。
3.技術ソリューションセグメント
・クリーンルームや制御された環境を完備した巨大な生産施設により、あらゆる金属や複合材料を高精度で製造できる技術力を持ち、特殊な核燃料コンポーネントや関連部品の製造が可能。
・HALEUの生産や、高度なエンジニアリング、設計、製造、研究サービスを政府および民間企業向けに提供。
・米国エネルギー省(DOE)などへの供給や先端炉開発の支援が収益源であり、将来の成長ドライバーと目されている。
・米国政府や国防省と連携し、核兵器や宇宙ミッション、防衛ミッション向けの特定燃料も提供。
以上のように、常に需要がある既存の大規模原子炉の核燃料製造で安定収益を確保しながら、発展段階にある次世代原子炉のための高品質な核燃料の供給体制を構築し、新たな市場の拡大を目指しています。
同社の強みは、核燃料の調達から濃縮、顧客への納入までサプライチェーン全体を自社で構築し、必要な時に信頼性の高い供給ができる点にあります。
また、ピケットン(オハイオ州)の自社工場は米国内唯一のNRC(原子力規制委員会)認可濃縮技術拠点として、HALEU生産および将来的なLEUの国内生産回帰において中心的な役割を果たしています。
現在、ロシア産ウランの輸入規制が米国や欧州で進んでいて、米国のエネルギー安全保障と核非拡散の観点から国内での核燃料生産能力の強化が急務となっているのためです。
近年のデジタル化やAI利用の拡大によって、電力を大量消費するデータセンターの建設ラッシュが続いており、電力需要が急速に増しています。
これを補う手段として原子力発電が注目され、既存の大型原子力発電に加えて、小型モジュール炉のような次世代原子炉の開発が進んでいます。
小型モジュール炉とは、小型のユニットで構成された小規模の原発で、局地的に電力を大量に消費するデータセンターのような場所への設置が想定されているものです。
環境に大きな影響を与える事故のリスクがあるものの、現段階ではCO2排出を抑えつつ効率よく発電する方法として、原子力に頼らざるを得ない状況にあります。
従来型の大型炉と比較すると小型モジュール炉は、導入コストが低い、安全性が高い、場所を選ばないなどのメリットがあるとされており、増加する電力需要に応える切り札として期待されています。
こうした次世代原子炉向けのHALEU核燃料市場において同社は米国内でほぼ独占状態にあります。
電力需要の急増、次世代原子炉の登場、核燃料の国内生産回帰、CO2排出の削減などの強い追い風を背景に、同社は今後、核燃料の供給でリーダーシップを発揮し、米国のエネルギー安全保障と脱炭素政策の中核的な役割を担う存在へと成長していくことになるでしょう。
会社ウェブサイト
https://www.centrusenergy.com/

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