アメリカ成長株:アリス・ウォーター・ソリューションズ(Aris Water Solutions)の概要
アリス・ウォーター・ソリューションズ
Aris Water Solutions Inc
ティッカーコード:ARIS
上場市場:NYSE(ニューヨーク証券取引所)
業績についてのリンク
https://finance.yahoo.co.jp/quote/ARIS/performance
アリス・ウォーター・ソリューションズ社は米国のパーミアン盆地において、石油やガスを採掘するエネルギー産業のための水管理サービスを提供しています。
パーミアン盆地はテキサス州とニューメキシコ州にまたがって存在する米国最大の油田地帯で、フラッキング(水圧破砕法)によるシェールオイル・ガスの採掘が盛んに行われています。
フラッキングは水圧で岩盤を破砕することによって地中に分散して存在する石油やガスを抽出し、効率的に回収する技術です。
大量の水と有毒化学物質を使用するため、周辺の地下水を枯渇させ、水質を汚染することが問題となっています。
同社はフラッキングが引き起こす水問題を解決するために以下のような事業を展開しています。
・生産水の管理・処理・リサイクル
フラッキングで発生する“生産水”を収集・貯蔵・輸送・処理してリサイクル。
パーミアン盆地の中核地域において、約1200キロメートルのパイプライン網と、複数の大規模水処理・リサイクル施設を保有。
リサイクルされた水は採掘業者に販売され、再びフラッキング用の作業水として利用されるため地下水の取水が抑えられる。
・統合型インフラの提供
パイプライン、ポンプと処理・リサイクル施設を統合したインフラを構築。
採掘企業の生産水管理・供給・リサイクルを一貫してサポート。
多くのサービスは長期・固定価格契約で提供されており、顧客企業の操業安定化と同社の収益安定化の両立を実現。
・持続可能性(サステナビリティ)の推進
顧客企業の水資源の使用抑制だけでなく、水のトラック輸送の代わりにパイプラインを提供することでCO2排出量の削減も支援。
石油・ガス業界のESG(環境・社会・ガバナンス)目標達成に貢献するソリューションを提供。
同社は2021年に設立された比較的新しい会社であり、収益源の開拓を積極的に進めており、現在以下の計画があります。
1.生産水の高度処理と多用途リサイクル
先進的な水処理技術の開発・導入により、リサイクル水を石油・ガス産業以外の分野(農業用水、工業用水など)に再利用する計画。
米国エネルギー省(DOE)からの助成金を得て、生産水の脱塩・高度処理技術を農業灌漑用水として利用する研究を進めている。
2.ミネラル抽出・副産物の利活用
マグネシウム、リチウム、アンモニア、ヨウ素などの有用な高価値の資源を生産水から抽出する新たな施設の設立を計画しており、ヨウ素の抽出施設を2026年第1四半期末までに操業開始予定。
リサイクル水を原料とした低CO2排出水素の製造や、大気中CO2の直接回収(DAC)など、カーボンニュートラルの推進も視野に入れている。
3.農業・工業分野への展開
テキサス工科大学と連携し、リサイクル水の農業利用や工業プロセス水としての活用を研究・実証中。
工業分野では、既存の水処理技術を応用し、他産業向けのリサイクル水供給や廃水処理サービスの拡大を目指している。
こうした計画が実行されれば、新たな収益源が追加されることにより、収益の安定化と拡大が期待されます。
最近は、中東情勢の不安定化によって原油価格が乱高下しており、採掘企業はその影響で収益が大きく変化し、経営状況が不安定化しています。
同社も採掘関連の企業ではありますが、基本的に原油価格の上下によって直接影響を受けることはありません。
また、リサイクル水の新しい利用法の開拓による収益の多角化で、経営をさらに安定化させていく予定です。
シェールオイルは今まで石油がそれほど産出されていなかったような地域からの採掘も可能にしましたが、採掘コストが高いという欠点があります。
石油生産を中東地域に頼らないようにするためには、シェールオイルの採掘コストを下げ、採算性を上げることが重要となります。
同社の事業はシェールオイル採掘業者にフラッキングのための地下水を格安で提供することで採掘の採算性を上げており、今後も世界の原油供給の安定化にも貢献していくことになるでしょう。
会社ウェブサイト
https://www.ariswater.com
コメント