アメリカ成長株:ダーリング・イングリーディエンツ(Darling Ingredients)の概要
ダーリング・イングリーディエンツ
Darling Ingredients Inc
ティッカーコード:DAR
上場市場:NYSE(ニューヨーク証券取引所)
業績についてのリンク
https://finance.yahoo.co.jp/quote/DAR/performance
ダーリング・イングリーディエンツ社は畜産業や食品産業から出る副産物や廃棄物を再利用・リサイクルする事業を北米、欧州、南米などを中心にグローバルに展開しています。
これらの素材は、家畜の飼料、農作物の肥料、航空機の燃料、食品の栄養素など、多岐にわたる用途で使用されています。
生産される成分別に、燃料、飼料、食品の3つのセグメントがあります。
1.バイオ燃料
動物性副産物や使用済み食用油などの有機廃棄物を原料とし、再生可能ディーゼルや持続可能な航空燃料(SAF)、バイオガス(バイオメタン)などの脱炭素に有効な再生可能エネルギーを生産。
食肉解体後の動物性脂肪や使用済み食用油、有機汚泥、食品廃棄物などを回収し、バイオ燃料の原料として再利用。
米国大手石油会社であるバレロ社との合弁で“ダイヤモンドグリーンディーゼル”を運営し、世界最大級の再生可能ディーゼル燃料の生産能力を持つ。
廃棄物を高付加価値のエネルギー源に変換することで、環境負荷の低減と持続可能な社会の実現に貢献。
2.動物飼料
主に牛肉、鶏肉、豚肉などの動物副産物や食品廃棄物を原料とし、これらを回収・加工して動物飼料や飼料用原料をグローバルに供給。
食肉解体後に発生する動物副産物(骨、脂肪、内臓など)や、パンくず、使用済み食用油などを回収し、非食用油脂やタンパク質・糖質のミール(粉状の加工食品)などの飼料原料に加工。
スプレードライブラッドミール(動物由来の血の粉末)のようなタンパク質含有量の高いミール、非食用油脂、ペットフード用原料、有機肥料原料など、用途に応じた多様な製品を提供。
北米、欧州、南米を中心に、動植物由来の原材料の収集・加工・販売を一手に行うグローバルな事業体制を構築。
廃棄物の有効活用によって持続可能な天然成分として再生し、顧客のニーズに合わせてカスタマイズしたソリューションも提供。
3.食品原料
牛や豚の骨チップ、牛皮、豚皮、魚皮などの動物由来の副産物をコラーゲンやゼラチンなどの食品成分に加工。
豚や牛の腸を収集・加工して天然ケーシング(ソーセージの皮)として食品業界に提供。
これらの成分は、食品、製薬、健康食品、ペットフードなど多様な分野で利用されている。
持続可能性を重視し、廃棄されるはずだった動物副産物を有効活用することで循環型経済にも貢献。
同社はこうした事業を進める上で、環境への取り組みと持続可能性を重視しています。
廃棄物の再資源化、再生可能エネルギーの生産、温室効果ガス排出削減、水資源保護など多角的な環境保護活動を推進し、循環型経済とカーボンニュートラル社会の実現に大きく貢献しています。
こうした活動により、ニューズウィーク誌の「アメリカで最も責任ある企業」ランキングで上位に選出されるなど、ESG・サステナビリティ分野で高い評価を受けています。
今、世界では急激な人口増加や気候変動による食料の不足が危惧されています。
生産された食料を少しでも有効活用することが求められるようになり、再利用やリサイクルへの関心が高まっています。
ただし、これには手間、輸送、人件費などのコストがかかり割高になりがちで、理想の実現のためにコストが犠牲になる面があることも確かです。
しかし、同社は持続可能性と収益性は両立し得ると考えており、直近の財務結果からも収益やEBITDAが堅調であることが示され、収益性が強化されているのが分かります。
利益率を上げるため、既存事業の効率化に加えて、高付加価値製品の開発や新たな市場への進出に注力しています。
例えば、食品原料セグメントでは、血糖値管理に役立つ“Nextida GC”を開発し、健康食品市場に参入しています。
これは、血糖値の上昇を抑制する効果が示されている新しいコラーゲンのペプチド(タンパク質の分解物)で、付加価値の高い機能性食品として開発されました。
Nextida GCの開発は、収益性を上げることでリサイクル事業の採算性を改善するための取り組みの一つです。
また、バイオ燃料セグメントでは、脱炭素化を進める航空業界での需要増を受けて付加価値が高まっている、持続可能な航空燃料(SAF)の生産能力を強化し、空港への新規の供給契約も増やしています。
環境保護のために導入された再生可能エネルギーが暗礁に乗り上げているのも、食品リサイクルと同じように、原因の多くがコストの問題が足を引っ張る点にあります。
限りある資源を最大限に活用し、持続可能な社会を形成していくためには、こうした環境保護に役立つ事業が採算ベースに乗ることが重要となります。
トランプ政権下のアメリカで再生可能エネルギーや環境保護活動に逆風が吹く中、資金や人材をリサイクル事業に集める流れを作るためにも同社の果たす役割は大きいと言えるでしょう。
会社ウェブサイト
https://www.darlingii.com/
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