アメリカ成長株:クリスピー・クリーム(Krispy Kreme)の概要
クリスピー・クリーム
Krispy Kreme Inc
ティッカーコード：DNUT
上場市場：NASDAQ National Market System
業績についてのリンク
https://finance.yahoo.co.jp/quote/DNUT/performance
クリスピー・クリーム社は米国を中心に展開するドーナツショップのチェーン店で、店舗販売、卸売り、オンライン販売などで世界中にドーナツを提供するグローバルブランドです。
日本には2006年に初上陸し、当時は行列のできるドーナツ屋として話題になりました。
現在も東京、大阪、福岡などの主要都市を中心に店舗を構えており、日本独自のフレーバーや季節限定商品が好評で日本市場においても安定した地位を築いています。
同社のドーナツは他社よりもやや高価格帯にあり、見栄えのする形状で非日常的なプレミアム感を出すことに成功しています。
しかし、同社の経営はずっと順風満帆であったわけではなく、米国では2000年頃から低迷が続き、全米各地に展開していた店舗を次々と閉鎖する事態になりました。
フランチャイズ形式の過剰な出店攻勢が仇となり、会計上の問題が明るみに出たことも重なって、一時期は業績悪化から企業存続の危機に直面しました。
日本でも2016年には相次ぐ閉店で、撤退の噂が出るほどまでに衰退した時期もありました。
その後、同社は投資会社のJAB Holdingに買収されて株式が非公開化されましたが、再建に成功し、2021年にNASDAQ再上場を果たしました。
この時に力を入れたのは、以前にフランチャイズ化していた多くの事業を買収し、より直接的な管理下に置くことと、買収した場所をハブ・アンド・スポークのネットワークに統合することでした。
ハブ・アンド・スポークとは物流分野で使用される用語で、中心拠点である“ハブ”から各地の分散拠点である“スポーク”へ荷物を輸送する方法を指します
主要施設や中心店舗（ハブ）から、周辺地域の支店（スポーク）に向けて効率的にサービスや商品を供給します。
ハブ・アンド・スポークには
・生産の集中化によって効率化される。
・各店舗での製造が不要で人件費が抑えられる。
・品質と新鮮さが保たれる。
・効率的な販路拡大が可能。
などのメリットがあります。
また最近は販路拡大も加速させていて、米国のマクドナルドや飲食チェーン、小売業者とも積極的に提携を結んでいます。
2026年までに全米のマクドナルド12,000店舗に展開する予定で、マクドナルドの店内でハンバーガーに並んでクリスピー・クリームのドーナツが販売できるようになり、大幅な販売機会の拡大が期待されます。
マクドナルドは全米に膨大な数の店舗を持っており、その集客力、立地、顧客層を利用して同社の製品をより多くの消費者にアピールする機会が広がりました。
一方でマクドナルドは人気のドーナツを売れることで、顧客満足度を高められるメリットがあり、双方にとってWin-Winの関係が築かれています。
現在、同社の販売チャネルは以下のように広がっています。
・直営店舗とフランチャイズ店舗
・マクドナルドとの提携による店内販売
・スーパーマーケット、コンビニエンスストア、飲食店などへの卸売り販売
・オンライン販売によるデリバリーサービスとデジタルマーケティング
オンライン販売は前年比26%増と好調で、デジタル部門の強化が功を奏しています。専用アプリのダウンロード数増加や、SNS、WEB広告などのデジタルマーケティングを活用した販促の効果であり、今後もオンライン販売の伸長が見込まれます。
従来の店舗販売に加え、提携先への卸売り、オンライン販売など、多角的に販路を開拓するオムニチャネル戦略（多チャネル統合型販売戦略）を推進しています。
さらに国際展開も成功していて、世界35カ国以上の国と地域の13,000以上の販売拠点で直営店と大手小売のパートナーシップによりドーナツを提供しています。
店舗販売については、フランチャイズを減らして直営店を中心とすることで品質管理やブランドイメージの統一を図っています。
これにより顧客に安定した品質とサービスを提供できるようになり、ブランドへの信頼も高まっています。
現在は一時の低迷から脱却し、再び業績を伸ばすことに成功していて、今後も過去の反省に基づいた確実な戦略により安定した成長が見込めると考えてよいでしょう。
会社ウェブサイト
https://www.krispykreme.com/
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