アメリカ成長株:ゴラールLNG(Golar LNG Ltd)の概要
ゴラールLNG
Golar LNG Ltd
ティッカーコード:GLNG
上場市場:NASDAQ National Market System
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/GLNG
ゴラールLNG社は、最近話題に上ることが多くなった“天然ガス”の海上輸送とそれに必要な施設を提供するインフラ運営会社です。
天然ガスを送る方法には、ガスのまま送るパイプラインとLNG(液化天然ガス)に圧縮してタンカーで運ぶ海上輸送があります。
天然ガスはマイナス162℃まで冷却すると液体になり体積が600分の1まで圧縮されます。
LNGの海上輸送はパイプラインに比べて液化と再ガス化のための施設が必要である上に輸送コストもかかりますが、長大な施設を建設する必要がなく海を挟んだ離れた場所にも供給できます。
同社の事業は、天然ガスの液化、海上輸送、再ガス化までの一連のプロセスが含まれています。
従来は天然ガスの液化と再ガス化を港湾に作られた施設で行っていましたが、同社はこれを船上に移すことで自由な移動を可能にしました。
ガスを送る側と受ける側双方に液化・再ガス化の施設が不要となったため、多額の費用と長期の建設期間が必要なパイプラインよりも導入の優位性がさらに高まりました。
同社は世界で初めて船上での液化(2018年)と再ガス化(2008年)を実現しましたが、どちらも既存のタンカーを改造して建造できるため、コストは最小限に抑えられます。
最近は海底からガス田が見つかることが急増していて、同社の船上の液化施設がガス田まで出向いて現地で採取し、その場で液化して輸送するのに役立っています。
天然ガスが今注目されている理由には主に2つあって、1つは石油・石炭に比べて二酸化炭素排出が3~4割少なく大気汚染物質を出さないためで、もう1つはウクライナ危機によってロシアからの供給が滞っているためです。
脱炭素が言われるようになり、二酸化炭素を出さない太陽光や風力などの再生可能エネルギーの普及が進みましたが、不安定さ、需給ギャップ、環境への影響などの問題も浮き彫りになってきました。
例えば、真夏の日中はエアコンによる電力消費がピークになりますが、太陽光の発電量もピークになるため十分にカバーできます。
ところが、逆に真冬に暖房の電力消費が増加する時期は、太陽光の発電量が減ってしまうためカバーしきれず電力不足に陥ってしまうのです。
発電量が安定しない再生可能エネルギーだけでは変化する電力需要に合わせた発電は難しいと言わざるを得ません。
これを補うためには臨機応変に出力調整ができる天然ガス発電が最適で、欧州では再生可能エネルギーの拡大と同時に天然ガスによる発電も進め、近隣のロシアからパイプラインを敷いて供給を受けていました。
効率やコストからはこの方法がベストでしたが、ウクライナ危機によってロシアからの供給が途絶えることになり一国に頼るリスクが露呈しました。
パイプラインは効率が良い反面、安易に頼るとカントリーリスクに晒される危険がありますが、天然ガスの産出国は世界中に広く分布していて原油のような偏りがないので、運ぶ手段さえ確保できれば安定供給が可能です。
現在欧州は海路による天然ガスの調達が7割も増えていて、ロシアからのパイプライン経由で入らなくなった天然ガスの埋め合わせに必死であり、LNGタンカーや液化・再ガス化船が大活躍しています。
かつてはロシアのサハリンから日本にパイプラインを敷くという構想もあったようですが今の状況から考えるととんでもない話で、エネルギーの確保には効率やコストよりも大事なことがあると肝に銘じるべきでしょう。
会社ウェブサイト
www.golarlng.com
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