アメリカ成長株:センテッサ(Centessa)の概要-6
センテッサ・ファーマシューティカルズ
Centessa Pharmaceuticals PLC
ティッカーコード:CNTA
上場市場:NASDAQ National Market System
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/CNTA
センテッサ・ファーマシューティカルズ社は、ガン、血友病、自己免疫疾患、高血圧、神経障害、遺伝病などの様々な疾患のための治療薬を開発する10の製薬企業を子会社として抱えています。
今回はこれらの子会社のうちのパラディオバイオサイエンス(Palladio Biosciences)社をピックアップして紹介します。
同社はADPKD(多発性のう胞腎)の治療薬を目指す“リキシバプタン”を主力製品候補として開発しています。
ADPKDは成長とともに腎臓が肥大化して腎機能が失われていく遺伝性の希少疾患で、その他の臓器の障害も伴い、患者は最終的に透析か腎移植を受けることになります。
発病する直接の原因はバソプレッシンというホルモンが働き過ぎることにあります。
バソプレッシンは状況に応じてV2というホルモン受容体に結合し体内の水分量を調節していますが、ADPKD患者の場合には腎臓肥大を促進していることが分かっています。
リキシバプタンはバソップレッシンの代わりにV2受容体に結合することでバソップレッシンの働きを妨害します。
全く同じ作用をするトルバプタン(商品名:サムスカ)という治療薬がすでに大塚製薬から発売されていますが、肝機能障害を引き起こす副作用があり米国では30日を超えての投与と肝臓障害がある患者への使用が禁止されています。
トルバプタンとリキシバプタンはよく似た分子構造をしているのですが、コンピュータシミュレーションによる比較ではリキシバプタンの方が肝毒性が低いという結果が出ていて、実用化されればトルバプタンに変わる使いやすい治療薬としての活用が期待されます。
最近の遺伝病の治療薬は遺伝子のどの部分が変異しているかを特定し、それがどのような悪影響を与えているかを解明してから開発がスタートするケースがほとんどです。
ADPKDの場合にはポリシスチンというタンパク質をコードするPKDという遺伝子の変異に原因があることが特定されています。
しかし残念ながらポリシスチンの役割については詳しいことがよく分かっていません。
リキシバプタンのターゲットはV2というホルモン受容体であり、直接の原因と思われるポリシスチンの周辺ではありません。
これでは遺伝子変異の情報が活かされておらず対症療法の範疇を出ていません。
原因となっているポイントからターゲットが離れれば離れるほど副作用は大きくなる傾向があるため、ポリスチン周辺に的を絞るような開発の余地が残っているとも言えます。
本来は水分調節するだけのバソプレッシンが、なぜ患者の体内で腎臓肥大を引き起こすのかが分かっておらず、まだまだ不明な点が多い病気であることに間違いありません。
異常を起こす遺伝子が特定されても病気との具体的なつながりがはっきりしていないため、今後の詳しい研究によってさらに副作用の小さい効果的な治療薬が開発できるかも知れません。
会社ウェブサイト
www.centessa.com
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