アメリカ成長株: ケアディーエックス(CareDx)の概要
ケアディーエックス
CareDx Inc
ティッカーコード:CDNA
上場市場:NASDAQ National Market System
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/CDNA
不幸にも事故や病気で臓器の機能を失ってしまった場合、現在の医療技術では臓器移植に頼らざるを得ません。そして臓器移植には、他人の臓器を体の中に入れることによる拒絶反応と感染症の2つの大きな問題が生じます。
拒絶反応は免疫抑制剤で抑えられますが、やりすぎるとウイルスや細菌と戦う力が衰えて感染症にかかりやすくなってしまいます。
逆に免疫抑制剤を減らすと拒絶反応が強く出ることになってしまうため、感染症と拒絶反応が許容範囲に収まるようにバランスをうまく取らなければなりません。
そのためには移植後も常に臓器の状態を監視していく必要があり、移植したらそれで終わりというわけにはいかないのです。
移植された臓器の状態を調べる方法は、患者さんの負担が大きい生検(組織の一部を採取して調べる方法)しかありませんでした。
そこで、負担の小さい方法として血液、尿、唾液などを使った“リキッドバイオプシー”と呼ばれる検査が行われるようになりました。
今回紹介するケアディーエックス社は心臓、腎臓、血液幹細胞などの臓器移植をサポートする血液のリキッドバイオプシーを使ったシステムを開発・製品化し、トータルの移植関連ケアサービスを提供しています。
本来DNAは細胞核の中に収まっているものですが、細胞が損傷を受けたり死んだりするとその断片がセルフリーDNAとして血液中の漏れ出てきます。セルフリーDNAを調べることで得られる「どんなDNA断片がどれほど血液中に含まれているか」という情報から体に何が起きているかを推定できます。
同社のシステムは血中のセルフリーDNAを利用して臓器の状態をチェックします。
例えば、移植された臓器のドナー由来のDNA断片が多く漏れ出ていると臓器の損傷が進んでいる可能性が高いことが分かるわけです。
同社のサービスは、移植前の臓器の適合判断から移植後の長期間のケアまでシームレスに統合されています。
心臓移植の場合、同社の提供する“AlloMap”によって患者の免疫に関わる遺伝子の働きを調べ、ドナーの臓器と適合するかどうかを事前に判定します。
移植後は、“HeartCare”によって血中のセルフリーDNAを調べて自己免疫による攻撃や臓器の損傷が起きていないかをチェックします。
同社は、医療技術的な面だけでなく移植患者に寄り添うケアを目指していて“Allocare”というスマホアプリは
・投薬の管理
・水分、血圧、歩数、気分のモニター
・ケアマネージャーと情報交換
などの機能があり、移植後も長期に渡って体に注意を払わなければならず大きな不安を抱える患者にとっては頼もしいツールです。
セルフリーDNAは現在のところ主にガン細胞の様子を知るためのバイオマーカーに利用されていて、臓器移植分野での活用はまだ始まったばかりです。
血液中のセルフリーDNAは非常に微量でこれまでは詳しい分析が困難でしたが、次世代シーケンサー(DNAの塩基配列を解読する装置)などの分析技術の進歩によって微量のサンプルから多くの情報が得られるようになったことから今後様々な分野での活用が期待されています。
会社ウェブサイト
www.caredx.com
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