アメリカ成長株:シルバーゲート・キャピタル(Silvergate Capital)の概要
シルバーゲート・キャピタル
Silvergate Capital Corp
ティッカーコード:SI
上場市場:NYSE
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/SI
2021年はデジタル通貨(暗号通貨、仮想通貨など)が単なる投機の対象から、より一般的な金融資産の一つになるかどうかの瀬戸際の一年となっています。
テスラ社が自動車購入のための決済手段としてビットコインを認める・認めない等々、これまでの「デジタル通貨の世界にとどまっていた時代」から「より一般的な物・サービスと繋がる時代」に変わろうとしています。
もちろん、中国政府をはじめ、多くの政府や中央銀行が「否定的」「懐疑的」な意見を持っているのも事実です。このため、デジタル通貨の価格も急上昇・急落を繰り返しており、「普通の投資家」にとってはまだまだ敷居の高いアセットクラスとなっています。
しかし、デジタル通貨自体に投資するのではなく、上場株式投資でデジタル通貨周辺サービスに投資する、という流れは既に一般的になりつつあります。米国のコインベースや日本でもマネックスが例としてあげられます。
今回紹介するシルバーゲート・キャピタル社もそのような会社の一つです。参加にシルバーゲート銀行というデジタル通貨に特化した銀行を持っています。
シルバーゲート銀行は1988年に設立され、もともとは事業向けローンを提供していました。その後2013年からいち早くデジタル通貨関連事業に参加しています。「先見の明」のある銀行と言えます。
同社はいまではデジタル通貨関連事業に特化した銀行で、以下のようなサービスを提供しています。理解しやすいために、通常の銀行業務と比較して説明すると
1)普通のお金とデジタル通貨の交換 = ドルと円を交換するのと同様
2)デジタル通貨の送金 = 円を送金するのと同様
3)デジタル通貨の保管 = 預金に相当
4)デジタル通貨の発行 = 香港の銀行(HSBS等)と同様、普通の通貨(通常は米ドル)を保有し、その通貨の価値の分だけ、デジタル通貨を発行
5)デジタル通貨を担保とした融資の提供 = 不動産担保融資や預金担保融資に相当
となります。
2021年3月末時点で1104法人顧客を持ち、その内訳は、85のデジタル通貨交換所、695の機関投資家および運用会社、324の関連サービス開発会社(プロトコール開発、プラットフォーム、マイニング会社等)となっています。法人顧客数は年率58%で増加しており、急速に社会的な認知度も上がっています。フィデリティ、マスミューチュアル、CME、ペイパル等々、著名な企業、金融機関や取引所も顧客になってきました。
顧客の増加に合わせて「仕事の量」も増加しています。例えば上記の1)と2)を合わせたサービスがSEN(Silvergate Exchange Network)と呼ばれるサービスですが、取引量が急成長しています。
SENの取引金額は2020年1Qが170億ドル、2Qが220億ドル、3Qが370億ドル、4Qが590億ドル、そして2021年1Qは1660億ドルとなっています。わずか3ヶ月で1660億ドル=約18兆円の取引量となり、とんでもない金額が動いていることが分かります。
もちろん、2021年1Qはビットコインが6万ドルを超えて急上昇した時期であり、その後ビットコインには悪材料が相次いだことにより、価格は半分に急落しています。SENの取引量も急ブレーキがかかったはずです。
また、5)のデジタル通貨担保融資も、(もちろん担保となるデジタル通貨が暴落すれば強制売却などの保全措置を取ると思いますが)日本のバブル崩壊により「不動産担保融資が一気に不良債権化」したことを考えると、その「潜在的リスク」が気になります。
今後もデジタル通貨の価格は急上昇・急落を繰り返し、関連企業の業績も大きく振れると予想されます。しかし、デジタル通貨を取り巻くサービスの種類と量は安定して増加すると思います。
金鉱山を掘り当てるより、金(ゴールド)に投資する方が安定しています。さらに金を掘りだすための道具を売る方が、もっと安定して儲かります。この会社への投資は、「デジタル通貨の値上がり自体より、デジタル通貨の作り出すエコシステムの成長に賭ける投資」となります。今後とも注目したい企業です。
会社ウェブサイト
https://www.silvergatebank.com/
コメント