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将来面白いことになりそうなアメリカの成長企業を紹介します。

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アメリカ成長株: スカイライン・チャンピオン(Skyline Champion):ユニット型住宅の建築会社

その他

アメリカ成長株: スカイライン・チャンピオン(Skyline Champion)の概要

スカイライン・チャンピオン
Skyline Champion Corp
ティッカーコード:SKY
上場市場:NYSE

業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/SKY

コロナ感染によって、「過密な都市から郊外へ」という住み替えが起こっています。この傾向は米国でも同じで、「郊外の一戸建てに住む事」への需要が増加しています。この追い風を受けているのが、今回紹介するスカイライン・チャンピオン社です。

同社が「建てている家」は、いわゆる「ユニット工法」と呼ばれる方法です。(米国ではmanufactured and modular homesを言う表現をするようです)建物の大部分を工場で作り、建設現場ではそれを組み立てることで、工期と建設コストを軽減します。ユニットを複数組み合わせることで、大規模な建物にも対応できるため、単身者向け、家族向け、病院さらに介護施設などの様々な用途に使われています。

スカイライン・チャンピオン社は、スカイライン社がチャンピオン社(Champion Homes)を2018年に買収してできた会社です。もともとチャンピオン社の方が大手の住宅会社だったのですが、2009年に破綻しました。その後チャンピオン社はファンドの下で再建を図り、2018年にスカイライン社がファンドからチャンピオン社を購入し、現在のスカイライン・チャンピオン社となりました。このため、購入した側(スカイライン)より購入された側(チャンピオン)の方が、事業規模として大きくなっています。

現在、「建築物のユニット等」を製造する工場は、北米(米国および西カナダ)に38か所あります。社員数は6700名で、北米では大手の住宅建設会社です。ユニット住宅でのシェアは17%で、第2位となっています。(最大手は、バークシャー・ハサウェイ社が所有するクレイトン・ホームズ社で、47%のシェアを持っています)

ところで、建設現場で建物を建てる方式の建物(site build homes:SBH)と、建設現場でユニット(部品)を組み立てるユニット工法(MH:Manufactured homes)には、顧客層に大きな違いがあります。

Consumer Financial Bureau の調査によれば、 以下のようになっています。
純資産のメディアン : SBH=112000ドル、MH=26000ドル
年間所得のメディアン: SBH=50600ドル、MH=26400ドル
総資産のメディアン : SBH=213200ドル、MH=44700ドル
負債のメディアン : SBH=30300ドル、MH=5000ドル
家を買ったときの平均年齢: SBH=37歳、MH=42歳

MHは、かなり所得・資産の低い層が、メインの顧客層であることが分かります。一方、2017年の家計所得分布をみれば、年間所得50000ドル以下は全体の45%となっています。「所得の低いマス層が、郊外に一戸建てを建てるには、ユニット工法の家を購入する可能性が高い」と言えるわけです。

このような外部環境により、同社の売上・EBITDAともに好調な数字が出始めました。2020年の前期では売上は7.2%増加、EBITDAマージンは2%改善しています。

コロナの影響は短期的に終わるリスクもありますが、「コロナ後の新しい生活スタイル」が根付いた場合、長期的にも成長できる可能性があります。さらに、「構造的にMHは成長しやすい」という環境もあります。

最初に「大手であったチャンピオン社が2009年に破綻した」件を紹介しましたが、これだけ見ると「リーマンショックが原因で破綻した」と思われそうです。しかし、実はかなり異なる背景で、破綻に至っています。

リーマンショックは「サブプライムの問題の破綻」が原因ですが、サブプライム・ローン(例クレジットの購入者向け住宅ローン)を使って、低所得者が購入していたのは「建設現場で家を建てる方法(SBH)」の家だったのです。

低所得者は、その購買余力を見れば「本来はユニット工法(MH)を購買する層」となります。しかし、サブプライム・ローンによって、自分の返済能力を超える「高価な」SBHを購入できるようになったのです。このため、コストは安いものの、見栄え等で劣るMHは、急激な販売減となりました。このような背景で、チャンピオン社は破綻となったわけです。サブプライム問題の破綻が原因ではなく、その前に起こったサブプライム・ローンの成長が、破綻の原因となっています。

2018年以降、連邦住宅抵当公庫(ファニーメイ)と連邦住宅金融抵当公庫(フレディマック)が、MH購入のための住宅ローンの証券化を行うようになりました。このため、低所得・マス層がMHを購入しやすい環境が整っていたのです。このようなところに、コロナ危機が来たわけです。

構造的な後押し+コロナという追い風が吹きました。長期的な成長が期待される業界となっていると思います。

会社ウェブサイト
https://ir.skylinechampion.com/overview/default.aspx

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