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アメリカ成長株:ユニキュア(uniQure):遺伝子疾患のためのウイルスを使った遺伝子治療を研究・開発

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アメリカ成長株:ユニキュア(uniQure)の概要

ユニキュア
uniQure N.V.
ティッカーコード:QURE
上場市場:NASDAQ National Market System

業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/QURE

遺伝子は人間の細胞で作られるタンパク質の設計図であり、遺伝子に異常があると正常なタンパク質が作られず、病気の原因になる場合があります。この遺伝子の異常は、親から受け継がれる場合や、突然変異で起こることもあります。一般に“遺伝病”もしくは“遺伝子疾患”と呼ばれていて、代表的なものには血友病や筋ジストロフィーがあります。

遺伝病に対する対症療法にはいくつかありますが、有効な治療ができるケースは全体の1%ほどしかありません。このため、遺伝子疾患に対する有効な治療法として、人為的に正常な遺伝子を付け加える“遺伝子治療”が高い期待を集めています。

例えば、血友病は血液凝固に関わるタンパク質の一つが遺伝子の異常で作られない遺伝病で、血液が固まらないために体のあらゆる場所で出血が止まらない病気です。関節や筋肉での内出血や歯茎の出血のような軽いものから、脳や消化管で起こる重症の内出血まで、様々な症状が全身に現れるものです。

従来の血友病治療は、血液製剤で血液凝固因子を補充する対症療法薬に頼らざるを得ませんでした。この治療法の結果、HIVウイルスに汚染された血液製剤が出回ったことで起きてしまった“薬害エイズ事件”はまだ記憶に新しいところです。

ところが、ウイルスを使って正常な遺伝子をゲノムに導入すると、正常なタンパク質が作られるようになり、血液凝固能を回復させることができます。これまでの対症療法しかなかった遺伝子疾患の治療に新しい道を開くことになった遺伝子治療は、ウイルスの持つユニークな増殖方法を利用したものです。

ユニキュア社は、「アデノ随伴ウイルス(AAV)」という人に感染するウイルスの一種を使って正常な遺伝子をゲノムに導入する技術を研究・開発するバイオベンチャー企業です。現在、血友病の治療のためのエトラナコジーンデザパルボベック(AMT-061)が、臨床試験のフェーズ3にあり、かなり承認に近づいてきました。

遺伝子治療に使われる「アデノ随伴ウイルス(AAV)」は、体内に侵入すると人のゲノムの中にこっそりと自分の遺伝子を挿入し、人の細胞器官に複製を作らせるという手口で増殖します。この「ゲノムに遺伝子を挿入する」というウイルスが持つ技を遺伝子疾患の治療に応用したのが遺伝子治療です。

生命活動の基礎となる重要なゲノムの情報を勝手に変えられてしまうわけですから、考えてみれば怖しいウイルスですが、AAVに感染しても症状が出ることはなく無害なウイルスとされています。

AAVには、
・病原性がなく副作用もない
・その他のウイルスに比べてガン化のリスクが低い
というメリットがある反面、

・導入できる遺伝子サイズなどに制限がある
・中和抗体が常在しているため免疫で排除されてしまう
というデメリットもあります。

治療とは言え、ウイルスに感染させるわけですから人体の方も黙って受け入れるわけもなく、当然これを排除しようと免疫が働いてしまうわけです。

ウイルスを使った遺伝子治療で一番厄介なのは、この“免疫による排除問題”なのですが、AAVにはいくつかの変種があり、その中から抗体の攻撃をかわして感染する能力が特に高い“AAV5”が選び出されました。同社の遺伝子治療薬はこのAAV5をベースに開発されていて、臨床実験でも高い効率で遺伝子が挿入されることが確認されました。

感染力の高いウイルスの方が人の役に立つ可能性があるというのは皮肉なことです。しかし、新型コロナウイルスのような高い感染力を持つウイルスの研究の中から、「免疫をかいくぐる画期的な方法」が発見され、将来の遺伝子治療に応用できるようになるかもしれません。

会社ウェブサイト
www.uniqure.com

 

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