アメリカ成長株:ABMインダストリーズ(ABM Industries)の概要
ABMインダストリーズ
ABM Industries, Inc.
ティッカーコード:ABM
上場市場:NYSE
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/ABM
コロナショックによって、新しいビジネスのやり方が多くの産業で起こっています。今回紹介するABMは、そのような変革の波を、短期的にはマイナス、しかし、長期的にはプラスに変える可能性のある会社です。
ABM社は、1909年に創業された歴史ある会社で、世界的な「ファシリティ・マネジメント会社」です。ファシリティ・マネジメントとは、「業務用の施設を、適切に管理する事」です。具体的には、オフィス用ビル、事業用施設や設備の掃除・メインテナンス・エネルギー消費の管理といったことをする事業です。
元々は、商店の窓ふきからスタートした同社ですが、その後事業を拡大し、現在では以下のような幅広いサービスを提供しています。
・商店、オフィスおよび工場の清掃・管理
・旅客機の掃除
・教育機関施設の清掃・管理
・太陽光発電施設、電気自動車用充電施設の整備
・ゴルフコースの管理
・データセンターのメインテナンス
全世界に350箇所の拠点と2万人を超えるクライアントを持ち、14万人のスタッフを雇用しています。
ところで、ここにコロナがやってきました。リモートでオフィスを使わなくなりました。学校も授業をほとんどオンラインに変えています。旅客機の利用は激減しています。
その結果、2020年第二四半期は大幅な赤字になりました。一株当たり利益で見ると、2019年2Qは0.45㌦→2020年2Qは-2.05㌦になっています。特にひどかったのは、航空機と教育施設関係でした。減損会計の影響により、大幅な損失の計上となりました。
このように短期的にはマイナスの影響を受けたABM社ですが、コロナショックは新しい成長の種も提供しています。
まずは「シェアアップ」です。
当然ならが、コロナショックは全てのファシリティ・マネジメント企業に共通しています。多くの「零細・弱小業者」は脱落していく可能性があります。同社のような大手が結果的に市場シェアを奪う機会を提供しています。
さらに「新しい仕事の種」も得られる可能性があります。
「もっときれいに掃除する必要がでてきた」ことです。オフィスの掃除の頻度が上がったり、アルコールで消毒する場所が増えたり。各クライアントごとの掃除量が増える可能性があります。同社では「Enhanced Clean (=一段上の綺麗さ)」という用語を作って、顧客開拓に努めています。
また、新規顧客の開拓の可能性も広がります。
これまで自社で掃除したり、グループ内の清掃会社で対応していた会社が、ABM社のよう専門会社に委託する可能性が高くなります。最終顧客(例えば消費者)の「綺麗さへの要求度」が異常なレベル (Hyper Vigilant) に達したことから、「やっぱり専門家に任せる必要」が出てくるためです。
一方で「レベルの高い掃除・メインテナンス」は競争相手とのサービスの差別化を付けやすく、市場シェアの変動にもつながります。
ABM社はコロナショックで短期的なダメージを受けました。しかし、コロナショックによって、シェアアップや新しい需要を得られる可能性がある、成長企業です。
会社ウェブサイト
https://www.abm.com/
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