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アメリカ成長株: ボストン・ビール(Boston Beer) コロナショック下でも健闘しているクラフトビールメーカー

一般消費財

アメリカ成長株: ボストン・ビール(Boston Beer)の概要

ボストン・ビール
Boston Beer Co Inc
ティッカーコード:SAM
上場市場:NYSE(ニューヨーク証券取引所)

業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/SAM

アメリカのビールと言えば、バドワイザーやクアーズなどの大手メーカーのものが有名ですが、アメリカには小規模なビール醸造所も数千以上あって個性的なクラフトビールを製造しています。

クラフトビールは、一般的には「小規模な醸造所で職人がこだわって作った伝統的なビール」とされていて、効率重視で大量生産される大手メーカーのものと違い材料から製法までこだわりがあって個性的なコクや風味が楽しめます。

最近アメリカではクラフトビールがブームになっていて、醸造所の数がここ5年ほどで倍近くまで増えています。このブームは日本でも広がりつつありヨーロッパや日本の銘柄が人気ですが、クラフトビール発祥の地がアメリカであることはあまり知られていないようです。

アメリカのクラフトビールの起源は意外に古いもので、1920年代の禁酒法によってビール醸造所が壊滅状態になった後、個人の醸造家が自家製ビールを作るようになり、60年代になると小規模醸造所が徐々に増え始めます。80年代までは大手ビールメーカーが市場を独占していましたが、その影で一部の愛好家の間で個性的な味のクラフトビールが人気となり、そろそろバドワイザーの味にも飽きてきた90年代になるとその人気が徐々に広まっていき現在のブームに至っています。

そのアメリカにおいて最もポピュラーなクラフトビールと言っても過言ではないのが、ボストン・ビール社が製造・販売している“サミュエル・アダムズ”であり、全米で最も売られている人気のクラフトビールです。米国内だけでなく、北米、南米、ヨーロッパ、オセアニア、環太平洋地域などの世界各地へ輸出されています。

世界中で売れているのは良いことですが、そうなると大手メーカーの大量生産されるものとの差があいまいになって“クラフトビール”であるのかどうかが怪しくなってきてしまいます。その問題は個性的なクラフトビールメーカーを子会社として抱えることと、多くのバリエーションを展開することで回避していて、サミュエル・アダムズブランドだけでも60以上の種類があります。

ブームに乗って順調に伸びてきたクラフトビール業界ですが、最近では多くのメーカーが乱立して過当競争になりつつある状況でした。そこに追い打ちをかけるように今回のコロナショックが襲うことになりました。コロナショックによってレストランやバーなどの飲食店向けのビールの売上が激減し、これらに頼っていたクラフトビールメーカーは苦境に立たされ、多くの小規模醸造所は閉鎖に追い込まれることになりました。

その一方、外食を控えることで自宅でビールを飲む機会が増えた結果、テイクアウトやオンライン販売が好調となり、中でもクラフトビールが売上を伸ばしました。これは、家飲みしながらも外食した気分を演出するアイテムとしてクラフトビールが求められるようになったためでもあるようです。

コロナショック以前から瓶や缶に詰めるためのボトリングの設備を持ち、通販にも対応していた同社のような大規模クラフトビールメーカーは売上を伸ばしたのに対し、樽の単位で店舗に納品するスタイルの小規模醸造所は大打撃を受けてしまったのです。

今回のコロナショックではクラフトビールメーカーの間でも規模によって明暗を分ける結果になりましたが、その中では勝ち組となった同社ではあるものの、大規模になればなるほど大手メーカーとの差別化が難しくなるという問題に突き当たることになるため、大規模化とクラフトビールとしての魅力の維持を両立させていけるかどうかが今後の重要なポイントになりそうです。

会社ウェブサイト
www.bostonbeer.com

 

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