アメリカ成長株:グローバル・ブラッド・セラピューティクス(Global Blood Therapeutics Inc)の概要
グローバル・ブラッド・セラピューティクス
Global Blood Therapeutics Inc
ティッカーコード:GBT
上場市場:NASDAQ National Market System
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/GBT
遺伝性の貧血症に「鎌状赤血球症」と呼ばれるものがあります。
赤血球は通常、真ん中が少し凹んだ円盤のような形をしているのですが、この病気の患者の赤血球の一部は細長く少し曲がった「鎌」の金属部分のような形をしています。この異常な形の赤血球は血管の中をスムーズに流れることができず、血管の分岐点で詰まってしまってそこで血流が止まることもあります。こうなると、脳、脾臓、眼、肺、肝臓などの臓器不全、呼吸困難、骨髄無形成や発作的な激痛を引き起こし、死に至ることもあります。
「貧血症」と聞くと、つかれやすい、めまい、立ちくらみ、動悸、息切れといった比較的にマイルドな症状のイメージを持っている人も多いのではないかと思いますが、鎌状赤血球症の症状は突然体に激痛が走りそれが数時間から数日続くという激烈なものです。このような大変辛い症状を抱えている多くの患者を救うのが、同社の開発した経口投与薬の「ボクセロトール」です。
赤血球は酸素と結合して体の隅々まで酸素を運搬する役割をしていますが、患者の赤血球は酸素と結合していないと鎌状に変形してしまいます。ボクセロトールは赤血球と酸素との親和性を高める作用があり、常に赤血球が酸素と結合した状態に保つことでこれが鎌状に変形することを防ぎます。患者は一日一回この薬を飲むだけで通院や治療の必要もなく鎌状赤血球症の辛い症状から開放されます。
また同社は「Inclacumab」という抗体治療薬の開発も進めていて、これは鎌状赤血球症の症状の緩和だけでなく、心臓の手術後に血管が詰まってしまう現象を防ぐ効果もあり、幅広い利用が期待される薬剤です。
鎌状赤血球症は世界で最も多い遺伝病と言われていて、米国だけでも10万人、世界では数百万人の単位で患者が存在しています。病気に順位をつけるべきではありませんが、その症状や患者数からしても特に優先的に救う必要がある疾患であることは確かです。治療費の面でも患者の負担は大きく、入院費、診察料、救急対応費などを含めると一人あたりの累積生涯費用は800万ドルを超えるとも言われています。
肉体的精神的苦痛、経済的負担、患者数を考えてみると鎌状赤血球症の治療薬の開発が社会的にいかに重要であるかが分かると思います。
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