アメリカ成長株:ウッドワード(Woodward)の概要
ウッドワード
Woodward, Inc.
ティッカーコード:WWD
上場市場:NASDAQ
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/WWD
部品メーカーというジャンルがあります。日本でもトヨタグループの中には、アイシン精機やデンソー等があります。部品メーカーの場合、特定のお客の下請け、あるいは顧客会社の系列に入っている会社があります。一方で、様々な会社(場合によっては、顧客がライバル同士)に部品を納めている、「独立系」に分かれます。
下請け・系列の場合仕事は安定しますが、顧客の力が強いため収益性に問題がでます。(儲かっていたら、顧客から値下げ圧力がくる)。また、顧客企業が大幅なリストラをした場合、会社自体の存続にかかわる大ダメージを受けます。例えば、日産が経営不振に陥った時に、多くの日産系列の下請け部品会社が破綻しました。
一方、独立系の場合は「顧客に先んじた製品開発」が常に求められます。同じものを作っていたら、顧客は系列会社や下請け会社を使うほうが便利でコストも安いからです。しかし、「顧客に先んじた、技術的優位のある製品」を開発できれば、幅広い顧客層を確保でき、収益性も高くなります。
ウッドワード社は、独立系の制御装置メーカーです。顧客は世界中にいます。世界2大航空機メーカーであり、米欧貿易摩擦の象徴的な会社であるボーイングとエアバスがともに顧客になっています。
そもそも制御装置とはなんでしょうか?エンジンの出力などをコントロールする装置です。もともとは、物理的な制御装置でした。例えば、原始的で制御装置として有名なのは、「ジェームス・ワットの遠心力ガバナー」です。(ガバナーというと、日本では州知事のイメージですが、制御・統治する人や物を、一般的にガバナー:Governorという言います)
軸の回転が速い→遠心力が強い→軸につながれた錘(オモリ)が外に行く→この力で燃料バルブを閉める
→ 軸の回転が遅くなる→遠心力が弱い→軸につながれた錘が軸に近づく→この力で燃料バルブを開ける
→ 軸の回転が速く ・・・
下記の映像は、これを分かりやすく説明しています。
https://www.youtube.com/watch?v=HS_YGZXP2xY
ウッドワード社は1870年に設立された会社で、もともとはこのような原始的な制御装置を水車向けに作っていました。しかし、その後技術の発展とともに、一般機械の制御装置、さらに近年では電子制御装置へと事業を発展させてきました。
現在は、売上の70%近くは航空機向けとなっています。同社の速度制御装置、同調装置、同調回路装置等は一般の旅客機のみならず軍用機にも使用されています。例えば有名なオスプレイにも採用されています。
航空機の場合、問題が発生した場合のダメージは、多くの人命を失う大事故につながります。この会社の制御システムをボーイングとエアバス、さらに米国の国防省が使っているということからも、非常に高い評価があることが分かります。今後もグローバル化の進展により、航空機製造は成長し、ウッドワード社にとっても成長機会が継続的にもたらされることになります。
また、制御装置の改善は、エネルギー効率の改善につながります。地球環境の視点では、環境関連企業とも捉えられます。
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