アメリカ成長株:ウィルスコット(WillScot)の概要
ウィルスコット
WillScot Corp
ティッカーコード:WSC
上場市場:NASDAQ
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/WSC
昔日本で子供が急速に増えていた時代、プレハブ教室というのがありました。一般の建物を建設するのに比べ、短時間で教室を作ることができました。今でもグーグルで「プレハブ小屋」と入力すれば様々な形態の「簡易に建てられる小屋」が出てきます。
ウィルスコット社は、企業向けにこのプレハブ小屋(同社はモジュールオフィスと呼んでいます)をレンタル・リースする会社です。営業拠点、オフィス、イベント会場等に利用されます。用途に合わせて、次のような様々な建物(正確には空間)を提供しています。
1)トレーラー・タイプ=トラックの後ろに付けて引っ張るタイヤ付きの建物
2)コンテナ・タイプ=フォークリフトで持ち上げて設置する建物
3)FLEXの組み合わせ=おもちゃのレゴ・ブロックのようにユニットを複数組み合わせて建物を作る(このユニット=モジュールをFLEXといいます)
等々
同社のウェブサイトにアクセスすると様々なモデルを見る事ができます。
https://www.willscot.com/mobile-offices
特に特徴的なのは、FLEXというサービスです。
https://www.willscot.com/FLEX
FLEXというユニットを使って、広さ・階層に柔軟に対応する建物を作りだします。枠組み部分は共通なのですが、壁にあたる部分は「窓を付ける」「全面ガラス張りする」「壁を取り払って、別のFLEXと連結させて広い空間を作る」など、設計に柔軟性を持たせています。これにより、広さは無限に、高さは3階まで対応できる建物が作れるわけです。
では、昔からあるモジュールオフィス関連ビジネスが、何故成長企業を生んだのでしょうか?
まずは市場全体の成長があります。米国は広いので、人口密度が低い膨大な土地が広がっています。そこで一時的な事業拠点を一般的な建設で作っていたのではコストがかかります。短時間で、必要な時だけ使え、保有しない空間へのニーズが高くなります。さらに人口も増加しています。マクロ的に成長市場で、市場全体は年率10%程度で成長しています。
ウィルスコット社の場合、その成長市場で勝ち抜くための企業努力があります。「顧客はオフィス・拠点の問題に頭を悩ますことなく、すぐに本業に集中できる」ように「ワンストップでサービス」を提供しています。
具体的には
・快適な環境の空間を提供できる素材・設計の提供
・短期間での設置
・オフィス・営業拠点・イベントなど目的に沿った内装の供給
・必要とされるインテリアや備品の準備
・申し込みなどが簡単に行える、ウェブサイトや営業拠点の充実
等です。
営業拠点の充実のためには積極的なM&Aも活用しています。2017年の12月にActon Mobile社(全米に展開するモジュールオフィスの販売企業)、2018年1月にTyson社(特に中西部に強い、モジュールオフィスの販売・レンタル企業)、2018年8月Mod Space社(非上場企業として最大のモジュールオフィスのレンタル企業)と立て続けに買収を行いました。M&A後には、コストカット同時に行い、売上増加のみならず収益性の改善も達成しています。
この結果メキシコとカナダにも数か所拠点がありますが、米国を中心に120か所の拠点があります。これまで利用した顧客企業は延べ約40000社(2019年末時点)となっています。
市場全体の成長+サービスの充実+M&Aによる市場獲得により、
売上は2017年度の4億4700万ドル→2019年度は10億5000万ドルに、
EBITDAは2017年の1億2400万ドル→2019年度は3億4500万ドルに、
急成長を遂げています。モジュールオフィスのレンタル事業はITやバイオに比べれば地味な業界ですが、高い成長を実現している会社です。
投資家向けウェブサイト
https://investors.willscot.com/
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