アメリカ成長株:レプリジェン(Repligen)のアップデート
レプリジェン
Repligen Corp.
ティッカーコード：RGEN
上場市場：NASDAQ National Market System
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/RGEN
レプリジェンについては、以前一度紹介しました。下記のページも参照ください
→ レプリジェンの概要
期待されていたコロナワクチンが実用化の段階に入りつつあり、一部には楽観ムードが漂い始めているようです。しかし、ワクチンは感染していない健康な人の多くが接種して初めて効果を発揮できるものであり、人々が積極的に受けるかどうかにかかっています。
ネット上にはワクチンの不安を煽るような情報が溢れていて、今回のコロナワクチンで深刻な副反応が出たとなれば接種率が激減し、コロナ収束が一気に遠のいてしまう恐れもあります。
特に日本ではワクチンに対する抵抗感が強いようですが、これは子宮頸がんワクチンの副反応に関する間違った情報が報道され、政府までが「積極的勧奨の中止」に踏み切るというヘマをやらかしたことがあり、ワクチンへのいらぬ不安感が広まってしまったためとも言われています。
子宮頸がんワクチンは別として、過去には日本脳炎ワクチンによる重篤な副反応や死亡事故が実際に起きており、ワクチンに副反応の心配が全く無いというわけではありません。このケースでは、ワクチンの中に製造の際に使われた成分の一部が残っていたことが原因でした。
ワクチンの副反応をなくすためには、必要なもの以外は製造の段階で極力取り除く“精製”の工程が重要となります。
以前紹介したレプリジェン社は、タンパク質、核酸、ウイルスなどの生体分子を精製するための分離装置を製造販売しており、研究レベルの微量分析から商業ベースの大量精製まで対応しています。数億人分という単位のワクチンや治療薬が必要になっている現在、同社の製品のような分離装置のニーズが高まっています。
現在のところコロナワクチンは、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ社が開発したワクチンが先行していて実用化段階に入りつつあります。これらのワクチンは、弱毒化もしくは不活化したウイルスで抗体を作らせる従来型とは大きく異なり、抗原となるウイルスのスパイクタンパク質を人の体内で作らせた上で、それに対する抗体を作らせるという二段ロケットのような今までにない新技術を使っており、未知の不確定要素を除外することができません。
※スパイクタンパク質：コロナウィルスが人の細胞に侵入する際に使う鍵のようなタンパク質
新技術を使ったワクチンは理論上、副反応を起こすような余計なものは含まれないため従来型よりは安全と言われていますが、精製が不十分であれば混入した不純物が何を引き起こすかわからないという点では従来型と同じで、精製の重要性に変わりはありません。
新技術のワクチンが抗原タンパク質を体内で作らせるのに対し、人工的に大量生産したものを接種するという方法があり、これで作られたB型肝炎ワクチンはすでに実用化されています。
今回のコロナワクチンによって8割以上の人に痛みや発熱などの症状が見られたそうですが、これは抗原タンパク質が体内で過剰に作られたことが原因かもしれません。人工的に大量生産する方法では、接種する抗原タンパク質の量をコントロールできるためそのような強い副反応を避けられる可能性があります。
同社はドイツのNavigo Proteins社との共同開発でスパイクタンパク質を吸着する樹脂の開発に成功しており、培養で増やしたタンパク質の溶液をこの樹脂に通すだけで純度の高いスパイクタンパク質を得ることができます。ワクチンの純度が上がり製造時間が短縮されることは、安全なワクチンの素早い大量供給に貢献します。
新技術によるワクチンが思わぬ副反応の出現などで失敗した場合、スパイクタンパク質だけを接種するという単純明快な方法が脚光を浴びることになるかもしれません。
コロナ収束の鍵を握っているとも言えるワクチンの供給ですが、世界中で様々なアプローチが試みられていてそれぞれが成功しつつあることを考えるとコロナ禍が開ける日もそう遠くはないでしょう。
会社ウェブサイト
www.repligen.com
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