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アメリカ成長株:モーフィック(Morphic):インテグリンをターゲットとした低分子経口薬を開発

アメリカ バイオ ヘルスケア・バイオ
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アメリカ成長株:モーフィック(Morphic)の概要

モーフィック・ホールディング
Morphic Holding Inc
ティッカーコード:MORF
上場市場:NASDAQ National Market System

業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/MORF

人の細胞の表面には“インテグリン”と呼ばれるタンパク質が存在していて、他の細胞や細胞外マトリックス(細胞を固定する足場)との結合を仲介しています。

細胞間の結合は免疫が正常に働く上でも重要な役割を果たしていて、自己免疫疾患のような様々な免疫異常による病気にもインテグリンが深く関わっていることが分かっています。そこで、異常を引き起こす原因の一つであるインテグリンの働きを抑える”インテグリン阻害薬”の開発が始まりました。

今回紹介するモーフィック社は主に自己免疫疾患系の難病である潰瘍性大腸炎、クローン病、線維症などの治療のためのインテグリン阻害剤を開発しています。

現在MORF-057、MORF-720、MORF-627の三つのインテグリン阻害薬の開発が進行中ですが、MORF-057を潰瘍性大腸炎に使用するケースが一番進んでいてフェーズ1に入っています(その他はまだ前臨床試験の段階です)。

潰瘍性大腸炎は自己の免疫細胞である白血球が大腸の細胞を攻撃して粘膜に潰瘍ができる病気で下血を伴う激しい腹痛、発熱、体重減少、貧血を引き起こします。

白血球の表面にもインテグリンがあり、これが大腸の細胞の表面にあるタンパク胃と結合することで白血球が腸管に取り付いて攻撃します。MORF-057はこのインテグリンの接着作用を阻害することで症状を抑えます。

白血球のインテグリンをターゲットとした治療薬としてはすでに“ベドリズマブ”という抗体薬があります。ベドリズマブはインテグリンだけに結合する抗体を利用したものですが、抗体は構造が複雑で不安定なタンパク質であるため様々な難点を抱えています。

その点ではMORF-057を含め同社が開発するインテグリン阻害薬は分子量が500以下の低分子薬であり、ベドリズマブのような分子量が15万もある不安定な抗体薬と比べると構造が単純で安定しています。

抗体薬であるベドリズマブは病院で点滴による投薬を受ける必要があるのに対し、低分子薬は利用・輸送・保存のすべてにおいて、有利な点があります。低分子薬は低コストで大量生産され、また錠剤の経口薬として提供されるため、患者の経済的・精神的負担は大幅に軽減されます。こうした有利な点を多く持つMORF-057は、後発薬にも関わらず、大きな期待がかかっています。

自己免疫疾患、心血管疾患、代謝性疾患、線維症、ガンなどの病気の原因となる様々なタイプのインテグリンが見つかっていますが、実用化された治療薬は少なく多くのインテグリンが未開拓のまま残されており、今後の開発にも期待したいものです。

会社ウェブサイト
www.morphictx.com

 

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