アメリカ成長株:ブラック・ダイアモンド(Black Diamond)の概要
ブラック・ダイアモンド・セラピューティクス
Black Diamond Therapeutics Inc
ティッカーコード:BDTX
上場市場:NASDAQ National Market System
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/BDTX
ガンという病気が怖いのは、ガン細胞が無秩序に増殖して体を蝕んでいくことにあります。
細胞の増殖は外から来る指令によってコントロールされていますが、これは“上皮成長因子受容体”という細胞の表面に突き出たタンパク質を介して行われます。この受容体は指令を受けてそれを細胞内部に伝え、細胞の増殖を増進したり抑えたりしますが、ガン化した細胞ではこの受容体に異常が起きていて、指令を無視して増殖させてしまいます。
このように上皮成長因子受容体は無秩序な増殖の鍵を握っているため、ガン治療薬開発のターゲットになっていています。例えば、分子標的薬であるイレッサ、タルセバ、ジオトリフなどがすでに実用化されています。
しかしこれらの分子標的薬は、健全な受容体までブロックしてしまうため、その副作用が消化器、皮膚、肝臓、肺などの広範囲に出てしまいます。このような副作用を防ぐためには、正常なものと異常なものを区別することが重要になります。
同社は独自のシステムでガン細胞の遺伝子配列の変異を網羅的に解析することで、異常な受容体にはタンパク質構造の一部に変化が起こっていることをつきとめました。この変化の生じた部分を標的にすることで異常な受容体だけを狙ってブロックすることに成功しました。
同社が開発中の“BDTX-189”は、異常な上皮成長因子受容体だけをターゲットとし、脳や脊髄で発生する神経膠芽腫(しんけいこうがしゅ)という悪性腫瘍の治療のために開発されました。
BDTX-189は製造や保存などの点で優れた低分子薬であり、経口投与できる錠剤の形で提供できますが、これは抗体などのタンパク質を使ったバイオ医薬品にはない利点です。一般的に低分子薬はバイオ医薬品と比べて副作用が重いとされていますが、BDTX-189は低分子薬でありながら副作用が軽いという両者の利点をあわせ持つものです。
BDTX-189はフェーズ1の臨床実験がこれから始まる段階ですが、低分子薬とバイオ医薬品の“いいとこ取り”をした、理想的とも言えるガン治療薬であり、実用化に期待が高まります。
会社ウェブサイト
www.blackdiamondtherapeutics.com
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