アメリカ成長企業

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アメリカ成長株:パロマ―(Palomar):地震やハリケーンなどに特化した新興の損害保険会社

金融

アメリカ成長株:パロマ―(Palomar)の概要

パロマー・ホールディングス
Palomar Holdings Inc
ティッカーコード:PLMR
上場市場:NASDAQ

業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/PLMR

アメリカには日本ではなかなかお目にかかれないような面白い会社があります。もちろんITやバイオ等の「社会の最先端」を切り開くような会社も多くあります。しかし、伝統的な産業の中にも、差別化と新しい技術の活用によって伸びている「成長企業」があります。

今回紹介するパロマ―社は、2013年に設立、2019年にナスダック上場の新しい会社で、「特定の分野に焦点を絞った」損害保険会社です。

日本では損害保険の対象は、自動車関係(正味保険料収入で約6割)、火災保険(14%)、障害保険(8%)となります。米国でも自動車保険は最大の保険対象です。しかし、パロマ―社の場合、このメイン市場は避けて、地震・事業リスク・ハリケーン・洪水等の「高いリスク市場」に焦点を当てた事業を展開しています。

1. 損害保険ビジネスの収益チャンス

保険のビジネスは
・統計的な分析
・マーケティング上の分析
の2つの分析を効果的に行うことで、成り立っています。

保険料=保険金 × 保険事故の実際の発生確率 + 各種のコスト + 業者の利益

で計算されます。

損害保険はかなりのリスクを再保険するため、その部分を入れて展開すれば

業者の利益
= 顧客からの保険料
-(保険金 × 保険事故の実際の発生確率)
- 再保険の保険料
+(再保険からの保険金 × 再保険事故の実際の発生確率)
- 各種コスト

となります。

コストについては、販売チャネルを効率化する(例えばネット販売)とか、事務作業を効率化する(例えば、作業をオンライン化して、人件費を下げる)等があります。しかし、コストダウンだけでは利益率の改善は望めません。やはり重要なのは「保険事故の実際の発生確率」の部分です。

「保険事故が発生する確率」を正確に予想できれば、効率的に保険料を計算でき、また効率的な再保険でのヘッジも可能となります。どのリスクをどの程度引き受け、どの部分を再保険するのか?これには高い統計上の分析能力が求められます。しかし、統計的分析能力だけでは他の保険会社とは差別化は難しいと言わざるを得ません。どの損害保険会社も、それなりの統計的分析能力を持っているからです。

このため、「保険を掛ける側が感じているリスク水準」と「保険を受ける側が予想しているリスク水準」の差に注目することが必要になります。

保険事故の発生確率に比べて、保険を掛ける人の感じているリスクが大きければ大きいほど、業者の利益は大きくなります。このような、「保険を掛ける人の感じているリスクが、実際より大きな市場」を見つけること=マーケティング上の分析能力が、事業の収益性を向上させます。

2. パロマー社の焦点を当てた保険事故

上記のような視点から、パロマー社は次のような市場に絞って事業を展開しています
・個人向けの地震保険 (特に他の保険会社が保険の受け入れを行わないようなリスクの高い地域の地震保険)
・企業の様々なリスクをカバーする、企業総合保険
・企業向けの地震保険
・特殊な家に掛ける住宅保険 (空き家、古い家、普段使わない別荘等々)
・ハワイのハリケーン災害をカバーする保険
・内陸地域での海上保険 (川や湖での船舶輸送・物流に関係する事故の保険。そもそも海上保険という言葉は「外洋」の船舶輸送・物流に関係する事故の保険なので)
・洪水による損失をカバーする保険

これらの分野は、他の保険会社があまりカバーしていないため差別化がしやすく、相対的に高い保険料が請求できる分野です。

さらに、「保険料をきめ細かく提示」することで、「保険を掛ける消費者の気持ちを刺激して、保険の販売量増加」につなげています。例えば、「ある地域での保険料レベル(地震なのか、洪水なのかは不明ですが)」が、同社の競争相手の保険料は3種類しかないのに対して、パロマー社は「23,000種」に切り分けています。

パロマー社は、上記のように「儲かりそうな市場に焦点を絞り」「効率的な運用」を行う事で、高い収益性を確保しています。

保険会社の事業収益率を測る指標として、コンバインド・レシオ(Combined Ratio)というものがあります。これは、「1ドルの保険料のうち、どの程度を保険金支払いと経費で使っているか」を表し、低いほど収益性が高いことを示しています。パロマー社の資料によれば、アメリカの平均的な損害保険会社のコンバインド・レシオは99%であるのに対し、パロマー社は63%とのことです。

このような高い収益性を背景に、同社は高成長を続けています。過去3年間の保険料収入の平均年率成長率は45%(3年間で約3倍)となっています。損害保険という、「伝統的な産業」ですが、対象市場をうまく絞ることで、高い収益性と成長を達成している会社です。

会社ウェブサイト
www.PalomarSpecialty.com

 

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