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アメリカ成長株: ゼノン・ファーマシューティカルズ(Xenon Pharmaceuticals):神経障害のための治療薬を開発

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アメリカ成長株: ゼノン・ファーマシューティカルズ(Xenon Pharmaceuticals)の概要

ゼノン・ファーマシューティカルズ
Xenon Pharmaceuticals Inc
ティッカーコード:XENE
上場市場:NASDAQ National Market System

業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/XENE

ゼノン・ファーマシューティカルズ社は神経障害が引き起こす痛みや発作を抑えるための治療薬を開発しています。

神経は体の臓器同士の情報伝達を担う重要な働きをしていて、神経に不具合が起こると痛みが長引いたり過剰な興奮が続いたりすることで様々な病気の原因となります。

神経の信号は電気で伝わると言われていますが、電線の中を電気が伝わるのとは全く違ってタンパク質が関わって複雑に制御されています。
正確には“電気”ではなく“電位”が伝わるのですが、電位とは電荷を持つナトリウム・カリウム・カルシウムなどのイオンが神経細胞の内側と外側で偏って存在する状態のことで、“イオンチャネル”と呼ばれる細胞膜にあるタンパク質がイオンを細胞の内外に汲み出して作り出しています。

“チャネル”は“海峡”という意味の英語で、イオンチャネルは文字通り細胞膜の外と内をつなぐ海峡のようにトンネルを作り特定のイオンだけを通す役割があります。イオンを通すトンネルを状況に応じて開いたり閉じたりするゲートとして働きますが、平常時は閉じています。

刺激を受けたイオンチャネルはゲートを開いてイオンを流入させて電位に変化を起こし、これを感知した隣のイオンチャネルが同じようにイオンを流入させて電位の変化を起こし、またその隣が・・・という具合にリレー形式で信号が伝えられていきます。

通常この電位変化は直ちにイオンチャネルが逆向きにイオンを流入させてすぐに収まりますが、イオンチャネルのタンパク質に異常があると、信号が出っぱなしになるような不具合が起こり、神経の過剰興奮を起こします。

この異常な働きをするイオンチャネルを薬によってうまく調節できれば、神経障害の治療が可能になるのですが、そう簡単にはいかない事情があります。

酵素のような機能が十分に解明されているタンパク質は、別の物質やタンパク質と結合する部位が分かっていて、そこを狙うのが常套手段なのですが、イオンチャネルの場合はイオンを通過させるという大まかな機能が分かっているだけで詳しい構造や制御についての解明が遅れていて創薬の対象にされてこなかったのです。

また、イオンチャネルは全身のあらゆる部位に普遍的に存在することから病気に関わるイオンチャネルだけを選択的にコントロールするのは困難で副作用が出やすいと考えられてきました。

現在売られているイオンチャネルに作用する薬は、神経障害の治療効果があって昔から使われてきたものであり、よく調べてみたらイオンチャネルに効いていることが後から分かったというケースで最初から狙っていたわけではありません。

しかし、技術の進歩でイオンチャネルの研究が進み
・様々な種類の形・集合体がある
・イオンを通す部分とは別の場所にイオンを汲み出す量の調節をするスイッチがあって様々な制御因子でコントロールされている
ことが分かってきました。
こうしたイオンチャネルの幅広い多様性は、ピンポイントで狙えば副作用を抑えた治療薬の開発も可能であることを示しています。

薬の分子設計においても、候補となる分子群から最適なものを選び出すためのコンピューターを使った方法が発達し、イオンチャネルのスイッチ部分に適合する分子を探し出すスピードが格段にアップしたことから、イオンチャネルを標的とした創薬は最近になって活発化しています。

同社が開発中のXEN1101、XEN496、XEN007もイオンチャネルを制御するもので、主に“てんかん”のための治療薬です。

てんかんは神経の興奮状態が持続する神経障害の一つであり、発作が起きると体の一部にけいれんに起こし、気を失う場合もある病気です。
突然起こるため
・風呂・プールなどの水場で溺れる
・肺に飲食物が入る
・交通事故・転落事故・火災を起こす
・火傷する
などの重大な結果を招く場合もあります。

効果が高く副作用の小さい功てんかん薬が求められる中、2021年の10月に同社のXEN1101のてんかん患者を対象とした臨床試験の良好な結果を受けて株価が高騰するということがあり、市場の期待の高さが示されました。XEN1101は、うつ病やその他の神経障害の臨床試験も進行中ですが、てんかんでの結果によってこちらの実現性も高まっています。

構造解析と分子シミュレーションを使った現代的アプローチによってイオンチャネルを標的とした創薬がこれから盛んに行われるようになると思われますが、同社はその先駆的な役割を果たすことになりそうです。

会社ウェブサイト
www.xenon-pharma.com

 

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