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アメリカ成長株:リレー・セラピューティクス(Relay Therapeutics):低分子の抗がん剤の開発

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アメリカ成長株:リレー・セラピューティクス(Relay Therapeutics)のアップデート

リレー・セラピューティクス
Relay Therapeutics Inc
ティッカーコード:RLAY
上場市場:NASDAQ National Market System

業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/RLAY

リレー・セラピューティクス社が臨床試験を進めていた経口小分子阻害剤である“RLY-4008”に進展があったのでご報告します。
→ リレー・セラピューティクス社の概要

RLY-4008は同社独自のコンピュータシミュレーションを使って設計したガン治療薬で、ガン細胞の増殖に関わっているFGFR2というタンパク質をターゲットにしています。

FGFR2の詳細な構造から弱点となる部分を探し出し、そこをピンポイントで狙える形の小分子をコンピュータによって膨大な候補の中から選び出します。

FGFR2は“FGFレセプター2”という意味で、FGFR1~FGFR4まで4種あるうちの一つです。
FGFRは、正常な細胞ではFGFという細胞増殖を促すホルモンの受容体として機能していて、FGFが結合すると「細胞を増やせ」というシグナルを伝達します。

ところが一部のガン細胞では遺伝子の異常によってFGFR2がおかしくなっていて、FGFが結合しなくても細胞を増やすシグナルを送り続けて無秩序な増殖を引き起こしています。RLY-4008はFGFR2の働きを抑える作用によってガン細胞の増殖を止めてしまうことを狙った阻害剤です。

暴走するFGFR2をターゲットにした阻害剤は、この種のガンを抑える治療薬として魅力的ですが、似たような構造のFGFR1、FGFR3、FGFR4まで一緒くたに阻害すると高リン血症や下痢のような様々な副作用が出ることになります。

そこでRLY-4008はFGFR2だけをその他のFGFRと厳密に区別して阻害するように設計されました。
そして昨年の10月、RLY-4008を初めて患者に投与した臨床試験の結果が中間臨床データとして発表されました

それによるとFGFR2異常が原因の胆管ガンの患者にRLY-4008を投薬したところ、全員に腫瘍縮小効果が見られたとのことです。

その際、FGFR阻害剤で懸念される高リン血症や下痢などの副作用は見られず、FGFR2だけが選択的に阻害されることが示されました。

FGFR阻害剤としては、すでに米インサイト社が開発したペミガチニブという新薬が米国、欧州、日本で承認されていますが、FGFR2とその他のFGFRを区別できないために高リン血症を筆頭に網膜剥離、下痢、口内炎などの様々な副作用が認められています。
同社のRLY-4008は後発ではありますが、FGFR2だけをピンポイントで阻害できるためFGFR2が原因のガンには効果が高く副作用も抑えられるようです。

まだ少数の患者を対象とした初期段階の試験であり今後の大規模な臨床試験の結果が待たれますが、今のところ順調な滑り出しのようです。

実現すれば同社のコンピュータシミュレーションを使った開発手法の有効性が実証されたことになり、並行して進んでいるその他の開発薬への期待も高まります。

会社ウェブサイト
www.relaytx.com

 

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