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アメリカ成長株:キメラ・セラピューティクス(Kymera Therapeutics):タンパク質を分解する治療薬の開発

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アメリカ成長株:キメラ・セラピューティクス(Kymera Therapeutics)の概要

キメラ・セラピューティクス
Kymera Therapeutics Inc
ティッカーコード: KYMR
上場市場:NASDAQ National Market System

業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/KYMR

キメラ・セラピューティクス社は、病気の原因となるタンパク質を分解する治療薬の実用化を目指しています。

「分解する」と言っても直接ではなく、体に元々備わっている不用なタンパク質を分解する“ユビキチンプロテアソームシステム(UPS)”という機能を利用します。

このシステムは、不要となったタンパク質に“ユビキチン”という小さなタンパク質のタグを貼り付け、これを認識した“プロテアソーム”と呼ばれるタンパク質分解系によって分解・除去させるというものです。

同社の治療薬は、病気の原因となるタンパク質をユビキチンでタグ付けすることで不用なタンパク質として処分されるように仕向けます。

ユビキチンは“E3リガーゼ”という酵素によって貼り付けられますが、この酵素を標的のタンパク質とうまく結合させれば、ユビキチンでタグ付けすることができます。

E3リガーゼと標的はそのままでは結合しないので、両者をつなぐ“リンカー分子”が必要となります。
一方が標的と結合し、もう一方がE3リガーゼと結合するように設計されていて、このリンカー分子を介して両者を結合させます。

設計で特に重要なのが、
・標的との結合性
・標的周辺に存在するE3リガーゼとの結合性
高めることで、このために同社は“ペガサス”という開発プラットフォームを持っています。

一言でE3リガーゼと言っても人間には500~1000の種類があり、標的の周辺にどのE3リガーゼが多く存在するかを把握することが重要です。同社のペガサスは600種類のE3リガーゼの体内での分布データから標的に最適なE3リガーゼを選択できます。

ペガサスによって設計されたリンカー分子は、標的のタンパク質と標的周辺のE3リガーゼの両方との優れた結合能があり、効率よくユビキチンタグを貼り付けて標的を分解・除去させることができます。

ユビキチンプロテアソームシステムは一般に“タンパク質分解治療”と呼ばれていて主に2つの利点があります。
・創薬不可能とされてきた標的タンパク質にも有効
・標的を完全に除去できるため阻害剤よりも効果が高い
従来の治療薬は標的の活性中心(機能する上で重要な部分)を狙うものでしたが、タンパク質分解治療は活性中心がないタンパク質に対しても有効です。

また、従来の阻害剤は標的の働きを抑えるだけでそれ自体は残ってしまいますが、タンパク分解治療では標的を完全になくすことができます。

同社が開発中の“KT-333”の標的は血液・固形腫瘍の原因となる“STAT3”というタンパク質で、これといった活性中心がなく阻害剤の開発が困難でしたが、タンパク分解治療の登場でSTAT3を標的とすることも可能となりました。

タンパク分解治療は最近注目されつつあり参入も増えているようですが、同社が持つ「標的の分解に利用するE3リガーゼの最適化」という技術は他に先行していて高い競争力を持っています。

人体にはユビキチンプロテアソームシステム以外にも様々なタンパク質分解システムがあり、今後の創薬の中心を担うようになる可能性も秘めています。

 会社ウェブサイト
www.kymeratx.com

 

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