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アメリカ成長株:エノビクス(Enovix):シリコンアノードリチウムイオン電池の製品化に成功

鉱工業

アメリカ成長株:エノビクス(Enovix)の概要

エノビクス
Enovix Corporation
ティッカーコード:ENVX
上場市場:NASDAQ National Market System

業績についてのリンク
https://finance.yahoo.com/quote/ENVX/financials?p=ENVX

リチウムイオン電池は、スマホ、家電、自転車、自動車など身近なものから軍事産業まで幅広く浸透していて現代社会には欠かせないものとなっています。

しかし、普及してきたが故に
・希少金属のリチウムを使っているために価格が高くなる。
・充電に時間がかかる。
・重量がある。
・充電・放電ロスがある。
・使用回数・時間に比例して劣化する
・爆発・発火の危険がある

などの改善すべき問題点も浮上してきました。

もちろん鉛蓄電池、ニカド電池、ニッケル水素電池と比べれば電気容量、起電力などの点で遥かに優秀ですが、リチウムイオン電池に頼った技術がどんどん出てきた結果、より高性能の電池が求められるようになっています。

今回紹介するエノビクス社は独自の技術でエネルギー密度を増やし、充電サイクル寿命を延ばす“シリコンアノードリチウムイオン電池”を開発・製造しています。

簡単に言うとリチウムイオン電池は、リチウムが負極で電子を放出して電気を発生させた後、正極に移動して電子を受け取り、逆に充電の時には正極で電子を放出して負極に戻って電子を受け取るというサイクルを繰り返します。
このリチウムイオンをどれだけ多く効率よく両極を行ったり来たりさせられるかで性能が左右されます。

従来のリチウムイオン電池の負極はグラファイトと呼ばれるシート状の炭素素材でできていて、リチウムイオンをシート層の間に溜め込むことができます。
リチウムイオンが金属として析出しないので、性能劣化とショートの原因となるリチウムの結晶が生じない上に、リチウムが溶液と接する部分が大きいため効率も格段に向上します。

同社は、このグラファイトの代わりにシリコンを負極に採用することでさらに電気容量を大きくし、サイクル寿命を伸ばすことに成功しました。
これは、シリコンがグラファイトよりも多くのリチウムイオンを蓄えられるためですが、シリコンには充電を繰り返すと膨張・収縮して劣化するという欠点があります。

そこで同社はシリコン層の3次元的な構造を工夫することでこの問題を解决しました。製造工程はやや複雑になりますが、従来のグラファイトタイプに比べて容量と寿命を大幅に改善できます。

こうして実現したシリコンアノードリチウムイオン電池はVRゴーグル、スマートウォッチ、ハンズフリーなどのウェアラブル端末やスマホ、ノートパソコンのための小型バッテリー(Enovixシリーズ)として製品化されています。

シリコンはありふれた素材で原材料としては安価で供給も安定していますが、製造工程が複雑でコスト高になるため、効率化によって価格を下げられる余地があります。

シリコンアノードに限らず、その他にも様々な素材や構造の電極を使ったリチウムイオン電池が開発されていて、それぞれに特徴があり使用される場面に合ったものが利用されています。

例えばスマホのバッテリーと発電所の蓄電システムでは求められる要件が大きく異なるわけで、全てのリチウムイオン電池がシリコンアノードに置き換わるのではなく、適材適所で使われていくという点に注意しておくべきでしょう。

 会社ウェブサイト
https://www.enovix.com

 

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