アメリカ成長企業

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ウクライナ侵攻から1年

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ロシアのウクライナ侵攻から、2月24日で1年が経ちました。このコメントでは、侵攻直後の2022年3月6日に以下のようなコメントを書きました。

→ 2022年3月6日のコメント

” 良いシナリオはいろいろ考えられます。

例えば、
「厳しい経済政策によってプーチン政権が弱体し、ウクライナを結局コントロールできないまま撤退する。
中国は台湾侵攻のリスクの大きさを理解し、民主主義勢力はより安定した国際秩序を獲得する。またロシアを助けたことで、中国に対する世界的な信頼化はさらに悪化し、中国の影響力は低下する。
ロシアが撤退することで原油・天然ガス価格は下落する。脱炭素も従来のスケジュールに沿って進展する。
欧州のNATO加盟国は国防費を積み増しし、米軍基地の拡充や設置を希望する。結果的に米国の覇権はさらに安定する。」

しかし、一方で悪いシナリオも存在します。
例えば
「ロシア経済は中国とインドとの取引継続で、厳しいながらも持ち堪える。欧州も日本も米国も、ロシアの原油と天然ガスの輸入をゼロに出来ず、SWIFT排除は中途半端な状況が続く。ウクライナでの戦争はゲリラ戦となり、ウクライナの国土の荒廃が一段と進む。

ロシアの多くの銀行をSWIFTから排除した事で、中国の国際決済システムであるCIPSの利用拡大に弾みがつく。ロシアのみならず西側に経済制裁されそうな独裁国家・強権国家・軍事政権が、ロシアの窮状を見て、保険としてのCIPS利用が広がる。

原油価格は高止まりし、中東産油国の発言力も増す。サウジの皇太子など、独裁的指導者が、国際政治への影響力を回復する。

欧米では、脱炭素と国家安全保障とのトレードオフ関係に焦点が当たり、脱炭素は後退する。
米国及び米ドルの覇権が揺らぎ、国際秩序は大きく不安定化する」

実際にどのような事が起こるか全くわかりませんが、大きなトレンドの変革点になる事は間違いありません。“

一年経過した現在では、残念ながら「悪いシナリオ」の方が多く実現しています。
理由は、「規模の大きな発展途上国がロシアを非難しない」ことです。

中国、インド、ブラジル、南アフリカ、はロシアを加えてBRICSと呼ばれていますが、このロシアを除く4カ国が全て「中立」を保ち、G7が主導する対ロシア経済制裁に加わりませんでした。これでは、ロシア制裁は抜け穴だらけで、効果はほとんどありません。結果的に2022年のロシアの経済成長はマイナス2%程度でした。

現在世界は次の4つのグループに分かれています。
・徹底的にウクライナを支えるG7+(G7以外の)EU諸国と先進諸国
・ロシア側にある、(既に欧米から経済制裁を受けていて、今さら欧米から嫌われても問題のない)いわくつきの国々(=イラン、北朝鮮、シリア等)
・中立を保つ大型途上国(中国、インド、ブラジル等)
・G7と大型途上国の2陣との距離感でふわふわと分布する多くの途上国

国連憲章や国際法の視点では、「当然」ウクライナは善、ロシアは悪です。しかし、中立を保つ大型途上国と、ふわふわと分布する多くの途上国は「理屈より利益」を重視しています。
この構図に変化が無い限り、ロシアは生き残ります。

<今後はアメリカが決定する>
ロシアは自分の目的をあきらめず、さらに、戦争を続行できる能力もあります。
ウクライナは、もともとの国力からして自力では戦争続行は不可能であり、西側先進国からの支援が頼りです。

この状況で、ロシアを押し返すには「アメリカがウクライナの必要なものを与え続ける」ことが必要となります。決定的に重要なのは、アメリカの動向です。

アメリカがロシアを追い詰めるまで、ウクライナを支えるのか?
それとも、アメリカがロシアに根負けするのか?

この視点で非常に気になるのが、最近でてきた米国市民の「気持ち」です。
既に、日本のメディアでも紹介されているAPの世論調査です。

Continuing support for U.S. involvement a year into the war between Russia and Ukraine - AP-NORC
Most adults still think the United States should play at least some role in the war. Support for specific interventions like supplying weapons to Ukraine is wan...

日本のメディアでは、
「アメリカが武器を提供することに賛成するアメリカ人の割合は2022年5月の60%から2023年1月には48%まで減少した」しかし「ロシアへの経済制裁は、2023年1月でも60%が指示している」
という2点を主に報道しています。

しかし、私が一番気にしているのはこの2点ではありません。この世論調査の一番最後のメッセージです。
“ Limiting damage to the US economy has become a larger priority than effective sanctions against Russia” という部分です。

どのぐらい自分の生活を犠牲にしてウクライナを支えるのか?質問にたいして、2022年5月と2023年1月の変化を見れば、米国市民の変化が明確となります。

・ロシアへの制裁を可能な限り効果的に行う 55%→36%
・制裁の効果が下がったとしても、アメリカ経済に影響のない範囲内で行う 42%→59%
となっています。

特に下院で多数派である共和党支持者に絞れば
・ロシアへの制裁を可能な限り効果的に行う 45%→26%
・制裁の効果が下がったとしても、アメリカ経済に影響のない範囲内で行う 52%→68%
となっています。

バイデン大統領、イエレン財務長官など米国の要人がキーフを訪問し、「ウクライナが必要な限り支援する」と言っています。しかし、米国国民は既に違う意見になっています。このままでは、早晩、米国のサポートは減速せざるを得なくなります。

こうなると、アメリカは「奥の手」を使うかもしれません。
米西戦争のメイン号爆発事件、第一世界大戦のルシタニア号撃沈事件、ベトナム戦争のトンキン湾事件。こういった「事件」で、アメリカ市民の世論が一気に硬化し、アメリカが本格的に戦争に参加するきっかけとなりました。

あまり考えたくはないですが、このままでは時間の経過とともにロシアが優勢になってしまいます。アメリカは「何か」が必要になってきます。

<アメリカ小型成長株について>
米国が現状を継続するにせよ、支援を減速するにせよ、あるいは一気に本気で関与するにせよ、西側先進国内での米国の地位はますます強くなっていきます。

先進諸国は中ロとの距離が開くことと反比例して、軍事的にも経済的にも米国依存が一段と強くなります。軍事予算の拡大は、ストレートに米国の軍事産業にとってプラスの影響があります。
きれいなストーリーではありませんが、米国小型成長株にとっては悪い投資環境ではありません。

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