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アメリカ成長株:イムノバント(Immunovant): ステロイドに代わる自己免疫疾患のための免疫抑制剤を抗体治療薬で実現

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アメリカ成長株:イムノバント(Immunovant)の概要

イムノバント
Immunovant Inc
ティッカーコード:IMVT
上場市場:NASDAQ Small Cap

業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/IMVT

歳を取ると誰でも体中の関節の痛みに悩まされるものでこれは一般に“リウマチ”と言われていて長期間の使用で関節の軟骨がすり減ることで引き起こされます。

それとは別に“関節リウマチ”という病気があり、これは年齢に関係なく起きるもので関節が激しく痛んで進行すると組織が破壊されて歩行困難になる場合もある深刻な病です。

関節リウマチで見られる激しい炎症は、外部から侵入してきた病原菌やウイルスに免疫が反応しているわけではなく、本来自分を守るための免疫が自分の関節の組織を異物と勘違いして攻撃してしまうために起こるものです。

このような免疫の暴走は、血液成分、血管、皮膚、内蔵、脳、神経など様々な部分に対しても起こって体に深刻なダメージを与えるものですが、よく知られたものには、バセドウ病、多発性硬化症があり、総称して“膠原病(こうげんびょう)”もしくは“自己免疫疾患”と呼ばれています。

免疫の暴走という意味でアレルギーと混同されることが多いのですが、アレルギーの場合はアレルゲンと呼ばれる原因物質に対する過剰な免疫反応なので、アレルゲンを避けるようにすれば回避することが可能です。

しかし自己免疫疾患の場合には自己の組織が免疫の標的となってしまっているため、暴走している免疫を止めるために組織を取り除かなければなりませんが、関節リウマチだからといって関節を切除してしまうわけにはいきません。自己免疫疾患の治療の難しさはこの点にあり、自分の免疫を多少犠牲にしても免疫抑制剤を使っていく以外に今の所は方法がありません。

イムノバント社は、IMVT-1401という免疫抑制剤を開発していて、重症筋無力症、甲状腺眼症、自己免疫性溶血性貧血の臨床実験でフェーズ1~3まであるうちのフェーズ2にあります。これらの自己免疫疾患の患者の血液中には大量の自己組織を標的にする抗体が存在していますが、IMVT-1401はこの抗体を含めた抗体の全体量を減らすことで免疫を抑制します。

血管の中を流れているタンパク質は血管細胞に取り込まれて処理されるのが普通であるのに対して、抗体だけは再度血液中に戻されてリサイクルされる仕組みがあります。

こうして血液中に常に抗体を常在させることで異物の侵入に備えているのですが、IMVT-1401はこの“抗体のリサイクル”に関わるタンパク質に対する抗体を使った抗体治療薬であり、このリサイクルを止めてしまうことで血液中の抗体を減らします。

どちらも“抗体”なので少々ややこしいのですが、要するに“外部から薬として抗体を投与して血液中の抗体を減らす”ということになります。

現在使われている免疫抑制剤のほとんどはステロイド剤なのですが、高血圧、内蔵・神経障害、骨の異常、脂質異常などの副作用が強いという問題があります。一方、IMVT-1401は“標的以外には影響を与えない”という特性を持っている抗体治療薬であるため、ステロイド剤のような広範囲の副作用を生じないという利点があります。

なぜ免疫が自己の組織を攻撃してしまうかについては、いまだに原因がはっきり分かっていません。近年は原因となる遺伝子を特定したという報告も出てきてはいますが、免疫には非常に多くの遺伝子が複雑に関わっているため、根本的な治療のターゲットを絞るのが難しいのです。

抗体治療薬であっても免疫抑制による感染症リスクの増大が避けらないことに変わりはなく、特に現在のようなパンデミック下では大きな問題となります。実際、感染を恐れるあまり薬の使用を控えた結果、病状を悪化させてしまう患者さんもいるようです。将来的には、免疫の働きを正常化できるような根本治療が待ち望まれています。

しかし、当面は免疫抑制剤に頼らざるを得ない状況で、さらに副作用の大きいステロイド剤は敬遠されつつあり、同社が開発しているような抗体治療薬にシフトしていくこと期待されています。

会社ウェブサイト
www.immunovant.com

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